今年6月15日に「生活の発見会」が東京都より、特定非営利活動法人(NPO法人)として認可を受けました。ついては本号はその特集号と致します。
(「生活の発見会・案内パンフレット」から抜粋)
いま、あなたはこんな悩みをもち、なんとか克服したいと、人知れず努力を続けています。しかし、その願いはかなえられず、さらに悩みは深くなっていった。
では、あなたの悩みはどうすれば解決するのでしょうか。
生活の発見会は、あなたが悩みを解決し、健康な日常生活が送れるように援助します。森田正馬博士(慈恵医大名誉教授、1874〜1938)が創始した、森田精神療法理論(略称・森田理論)にもとづいて—悩みを克服した人たちが、同じ悩みをもつ人とともに、互いに助けあいながら、実生活をしつつ学習を深め、悩みの解決をはかっていくのです。
生活の発見会(略称=発見会)は会員組織によって運営されています。以下、その主な活動のあらましを紹介してみましょう。
●機関誌「生活の発見」発行
毎月会員におくられる「生活の発見」誌(A5判、約90ページ)には、森田理論の研究、解説および学び方、神経質症をのりこえた体験記などが掲載されています。会員のいちばん身近な学習テキストであるばかりでなく、力強い心の支えとなっています。
●地区集談会
もよりの地域に住む会員の集まりで、発見会の活動母体です。北海道から沖縄まで全国150か所以上の集談会では、森田理論の学習を中心とする会合が月1回、自主的に開催されています。また大都市などでは、入会したばかりの人のための「初心者懇談会」があります。
●学習会
森田理論を、より集中的・系統的に学ぼうとする会員のために、各種の学習会が開かれています。
●相談活動
相談室(東京など数か所)で面接相談に応じ、森田理論にもとづくアドバイスを行なっています(予約制・有料)。また事情によって会合に出席できない会員のために、手紙相談(有料)もあります。
※そのほか、ゆとりと心の豊かさをもとめて、地域により懇親会、趣味の同好会や、ハイキングなどが催されています。
●神経症とは
あなたはきっと心配性で、なにかにつけて不安感や恐怖心の強いかたでしょう。そして、これがあっては生きるのに不都合だから、なんとか治したい。もっとよりよく生きたいという意欲を持っています。
つまりあなたは、自分の状態についての反省心をもちながら、それを治そうとして逆に自分の悩みを深めてしまったわけです。ですから森田理論でいう神経症(神経質症)とは、こうした状態が心のからくりによって慢性的に固定したもので、もとをただせばだれにでもある心理です。
●森田理論学習が適する人
このように苦しみながらも、何とか日常生活をつづけてきたあなたなら、生活の発見会(以下、発見会)で森田理論を学習し、それにしたがって実践していけば神経症から解放されていきます。ひいては、人間的にも大きく成長し、いきいきとした毎日が送れるようになりましょう。
神経症の症状が重く日常生活ができない人は、森田療法施設へ通院、入院されるのが良策です。また医師から、そううつ病、うつ病、またはうつ状態という診断をうけた人は治療が必要で、発見会で行なうような森田理論集団学習の適否については、医師に相談してください。幻覚、幻聴、妄想があり、病識のない人には、森田理論学習は適しません。
●神経症の3つのタイプ
さて森田理論では、神経症は便宜上、つぎの3つのタイプに分けられています。
発見会は1970年に、それまでの同人組織を改め、理事会を結成しました。会員相互の助け合いによる森田理論の集団学習運動という、新しい方針をうちだしたのです。以後、おおくの会員有志の奉仕的活動によって会は運営、推進されています。
1998年10月には、第50回保健文化賞を受賞。2005年にはNPO法人になりました。会員総数は現在、約3700人(男女比は約6対4)です。この会員数の半数以上が神経症から解放されており、また40%におよぶ約1500人が維持会員になっています。維持会員とは、学習運動のなかでその悩みから解放された体験から、この運動の発展と普及のため、発見会を支えていこうという篤志の会員のことです。
では、会員がかつて体験し、あるいは現に経験している神経症の症状はどのようなものでしょうか。さいきんの本会の調査(全会員)によりますと、対人恐怖と強迫神経症で53%と半数を越え、ついで普通神経症、不安神経症の順となっています(図1参照)。近年は、子育てに関する問題などで入会するひとも増えつつあります。
年齢別にみますと、40歳代が30%を占め、そのつぎに30歳代が24%で、30歳から50歳までで半数を超過していいます。10歳代はわずかです。また別に、昨年の新入会員のかたでは30歳代、40歳代の順になります。
職業別では、会社員が34%でトップ、主婦の23%がこれにつづいています。ほか職業は学生もふくめて、多岐にわたっています。
つぎに、「生活の発見会」誌の体験記の中から、どのような悩みを抱いて入会したのか2つの例をあげてみましょう。
以上の例にもみられるように、新しい会員の多くが症状に悩みながらも、日常生活をなんとか維持している人たちであり、あるいはまた、医師の治療を受けながら働いている人たちです。
いっぽう、症状のため日常生活が維持されておらず医療もうけていない人の場合や、学習方法の適応がむずかしいようなときには、もよりの発見会・協力医家に紹介することにしています。森田理論学習に適するかどうか、治療が必要かどうかの判断をしてもらうためです。
この協力医家とは、発見会の活動を理解され、神経症の診断、指導で支援をいただいている医師(臨床心理士を含む)のかたがたです。協力医家は現在、全国で150余人に達しています。
生活の発見会への入会方法や、集談会の開催場所・日時などについては、下記へお問い合わせください。案内パンフレットもあります。
NPO法人 生活の発見会(本部・東京)
神経症の悩みをのりこえるための全国的組織、森田療法理論の学習団体です。案内書もありますので、以下までお問い合わせ下さい。
〒112-0012 東京都文京区大塚4-41-12 第二マルナカビル3F
TEL.03-3947-1011、FAX.03-3947-1018
https://www.hakkenkai.gr.jp/
【編集後記】
本号は、「メンタルニュース・18号」(2000年10月発行)の改訂版です。
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