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症状別アドバイス集

その他の部屋

「自分を許せないのはより良くありたい気持ちの強さゆえ」 '26.02 

Aさんは、胸の不快感や焦燥感、不安感などの症状がおありなのですね。また、ご自身の状態についていろいろと考え、「あるがままに行動したいのにそれができない」「自分を許せない」と感じていらっしゃるとのこと。周囲の人が明るく楽しそうに見える中で、ご自身だけが取り残されたようにも感じてしまうのですね。Aさんが、症状だけでなく、自分のあり方についても悩んでいらっしゃるご様子がうかがえます。一方で、書かれている内容を拝見すると、現在もお仕事や家事は続けておられるとのことですね。落ち着かない気持ちを抱えながらも、日々の生活を続けてらっしゃる姿勢は素晴らしいと思います。

胸の不快感や不安感が強くなると、「これは何の病気なのだろう」と気になり、原因を明らかにしたくなる気持ちは、多くの方に見られる自然なものです。しかし、調べたり考えたりするほど、かえって気になり続けてしまうことも少なくありません。また、「あるがままでいよう」「不安をそのまま受け入れよう」と意識するほど、それができない自分に気づいて苦しくなることもあります。森田が患者さんに話した言葉に、次のようなものがあります。

「『あるがまま』とか、『なりきる』とかいうことを、なるほどと理解し承認すればよいけれども、一度自分が『あるがまま』になろうとしては、それは『求めんとすれば得られず』で、すでに『あるがまま』ではない。なぜなら『あるがまま』になろうとするのは、実はこれによって、自分の苦痛を回避しようとする野心があるのであって、苦痛は当然苦痛であるということの『あるがまま』とは、まったく反対であるからである。」

森田療法でいう「あるがまま」は、不安があるまま、そしてその背後にある欲望もあるがままに、気持ちが揺れながら目の前の生活のことに取り組んでいく姿勢のことを指します。Aさんは「好きなことやりたいことを考えると予期不安に襲われます」と書かれていますね。それもまた、自然な気持ちのあり方です。また書かれているように、「丁寧にやろう」と思っていても焦ってしまうことがあるのも自然なことです。不安や焦り、また胸の不快感などが出てきた時に、それを無理に抑えようとするよりも、その気持ちがありながら目の前のことに取り組んでいくこと、そして取り組めたことをしっかり認めることが「あるがまま」に繋がる一つの付き合い方だと思います。

Aさんは、「元々神経質なわたし」と書かれていますね。気にしやすい面と同時に、向上心の強さや何事もきちんとやりたいお気持ちも強いのではないかと想像します。「自分を許せない」というお気持ちも、より良くありたいという想いの強さの表れとも言えるかもしれません。だとすると、今の気持ちの揺れを、むしろしっかり味わっていただきたいと思います。なぜなら、色々な気持ちになりながら生活を過ごしていくことで、心の器が広がっていき、人としての成長に繋がっていくからです。Aさんの試行錯誤を応援しております。
(金子咲)

「不調な時のあるがまま」 '26.01 

Hさんは、さかのぼること数年前、うつ病と診断され休職をされていました。そこから先、森田療法の考え方や他の方の体験談などを支えに進んでこられたようです。その過程では、不安で何も手につかないという経験や、将来を不安に思うこともあったとのこと。しかし徐々に外出が出来るようになり、諦めていた電車に乗れるようになったという変化も書かれていました。しかし再び体調の変化に神経質になり、今までやってきたことが水の泡のように感じることもあったようです。体調の波に一喜一憂しながらも、しかし確実に進んでこられた様子が書かれていました。本当に苦しい日々だったのではないかと想像しますが、頑張ってこられたのですね。

直近のご様子では、お仕事にも戻られているようですが、再び不調の波が来ていて、このまま昔のように寝たきりになるのではないか、迷惑をかけるのではないかと不安になっているようです。そしてHさんは、不安が強くなり、ひよってしまう自分が許せないと感じていると書かれています。

うつ病になった当時、Hさんは、二児の父として、仕事をしつつ子育てや家事全般も担当していたとのことでした。このような状況から想像すると、Hさんは何事も頑張るタイプなのではないでしょうか。そしてHさんには、弱い自分はあってはならない、人に迷惑をかけてはならないという「かくあるべし」の姿勢があるのではないでしょうか。

もちろん、回復の光が見えてきた時に再び不調が来ると、また同じような状態になるのではと不安にもなりますし、悪い想像をしてしまうのも自然なことかもしれないですよね。しかしここで、弱気になってはいけないと考え始めると、不調に対して過剰に敏感になってしまい、ますます不安になります。そして不安になる自分をそうあってはいけないとかくあるべしの構えで関わると、ここに堂々巡りの悪循環…。

このような時は、不調というのは波を繰り返しながら徐々に底上げしていくものだと考えてみるもの大事な視点になるでしょう。そしてそれはご自身が不調になり回復された経験からもご存じのことではないでしょうか。ご自身でもこう書いています。“電池が切れかけているときはゆっくり休む”。本当にその通りですよね。それが自然です。まずはそっと充電。かくあるべしの姿勢ではなく、不安な気持ちはそのままに、今の自分に必要な過ごし方を探ること、これが今大切なあるがままなのだろうと思います。もちろん主治医の先生ともよくよく相談をしていただきたいと思います。一人で頑張らないことも忘れないでほしいと願いつつ。応援しています。
(渡辺志保)

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