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症状別アドバイス集

その他の部屋

「理想から今の自分を見下ろしていないだろうか」 '26.04 

Yさんは、元来人見知りや対人緊張があり、仕事が上手くこなせない中で、職場の問題で、上司と後輩、同僚との板挟みになったストレスからうつ病の症状が悪化し、休職と復職を繰り返しているとのことでした。今は、短時間勤務で仕事にも復帰されていると書かれていましたので、徐々に回復されている状況と推察します。

その後、他の方とのやり取りの中で、「出来ないことばかりに目を向けていた」「他の人と比べて劣等感ばかり感じている」と振り返り、「今の生活の中で出来ていること、事実に目を向けるという考え方が今の自分に必要」という気付きも得られているようでした。おそらくYさんは、とても真面目で、「こうあるべき」という理想の自分を基準に、今の自分を評価してしまっているのでしょう。

「こうありたい」という理想を持つこと自体は向上心の現れであり、とても大切なことです。ただ、いつの間にか「理想」が、当然の基準になり、そこから自分を見下ろしてしまうと、今の自分はとても情けない小さな存在に見えてしまうものです。Yさんが「理想を高く持ってしまう気持ちは消すことが出来ませんが・・」と書かれているように、それ自体を変えることは確かに困難でしょう。しかし、自分がどこを視点に自己評価をしているのか?と問いかけ、自分の癖を知ることは可能だと思います。完璧主義の人は、他の人の長所ばかりを寄せ集めた理想像を思い描きがちです。他の人と比べる際にも、案外、他の人の長所ばかりをみて、自分の短所と比べていないでしょうか。誰にでも長所・短所はあるものです。他の人の長所を見つけることは得意なのに、自分の出来ていないところばかりに注目して、出来ている事実を見つけないのは勿体ないですよね。

最後にYさんが書かれている「他の人がどう思っているかではなく、自分がどうしたいのか、他人目線ではなく、自分目線で考えていきたい」という言葉はとても大切だと思います。理想の自分から今の自分を見下ろして「引き算」をするのではなく、今の自分が出来ていることを一つ一つ「足し算」をしていく姿勢でやってみましょう。山登りでも、一歩一歩進んで振り返った時に、こんなに登ったのだと実感出来るように、自分なりの歩みを進めた後に、かつての自分を振り返るのであれば、自分の成長を実感出来ると思います。比較するのであれば、他の人と比べるのではなく、かつての自分と比べるのです。どうか焦らず、続けてみて欲しいと思っています。
(久保田幹子)

「日日是好日」 '26.03 

Zさんこんにちは。東京慈恵会医科大学西部医療センター精神神経科の半田です。

ご両親との関係性がよくない内気な性格で、毎朝3時間ほどひどい気分の落ち込みがあり、2人の小学生のお子さんには気分の落ち込んでいる姿を見せたくない、また「人生を楽しめる親、大人でありたい」というお気持ちが強いのですね。

小学生のお子さんが2人いると、朝はそれはそれは大変ですね。お弁当を作ったり、送り迎えをしたり、あるいは場合によっては起こすところからして難関かもしれません。しかもそれを地獄のような苦しみの中で毎朝やっているのですから、もう頭の下がる思いです。もうすでに十分立派なお母さんです。その上さらに「子供たちに朝、心から爽やかな笑顔を向けられるようにしたい」というのですから、それはちょっとカッコよすぎるというものではないでしょうか? そんなお母さんはきっと絵本の中にしかいないのだと思います。

もしかしたら、ご自身が目の当たりにしてきたご両親の姿が嫌で、それを反面教師にしてがんばってきたから、立派な大人でありたいという思いが強いのでしょうか。だとしたら、大丈夫です。だって、そんなご両親の下で、こんな十分立派なお母さんが育っているのですから。気力が湧かなくてお弁当を作れないときがあってもいいんです。悩みを抱えていてイライラしてしまうときがあってもいいんです。人生楽しいときばかりではない。苦しいときに素直に苦しんでいる姿を見せてあげることは、お子さんにとってもいつかきっと役に立ちます。人生を本当に楽しむということは、楽しいときに楽しみ、苦しいときに苦しむことなのでしょうね。日日是好日というやつですね。

ただ、最後に一つ付け加えさせてください。投稿していただいた内容だけでははっきりとは分かりませんが、もし何かあったわけではないのに毎朝気分の落ち込みがあるのであれば、うつ症状である可能性も考えなくてはなりません。心当たりがあれば、一度お近くの精神科や心療内科でご相談いただくことをお勧めします。
(半田航平)

「自分を許せないのはより良くありたい気持ちの強さゆえ」 '26.02 

Aさんは、胸の不快感や焦燥感、不安感などの症状がおありなのですね。また、ご自身の状態についていろいろと考え、「あるがままに行動したいのにそれができない」「自分を許せない」と感じていらっしゃるとのこと。周囲の人が明るく楽しそうに見える中で、ご自身だけが取り残されたようにも感じてしまうのですね。Aさんが、症状だけでなく、自分のあり方についても悩んでいらっしゃるご様子がうかがえます。一方で、書かれている内容を拝見すると、現在もお仕事や家事は続けておられるとのことですね。落ち着かない気持ちを抱えながらも、日々の生活を続けてらっしゃる姿勢は素晴らしいと思います。

胸の不快感や不安感が強くなると、「これは何の病気なのだろう」と気になり、原因を明らかにしたくなる気持ちは、多くの方に見られる自然なものです。しかし、調べたり考えたりするほど、かえって気になり続けてしまうことも少なくありません。また、「あるがままでいよう」「不安をそのまま受け入れよう」と意識するほど、それができない自分に気づいて苦しくなることもあります。森田が患者さんに話した言葉に、次のようなものがあります。

「『あるがまま』とか、『なりきる』とかいうことを、なるほどと理解し承認すればよいけれども、一度自分が『あるがまま』になろうとしては、それは『求めんとすれば得られず』で、すでに『あるがまま』ではない。なぜなら『あるがまま』になろうとするのは、実はこれによって、自分の苦痛を回避しようとする野心があるのであって、苦痛は当然苦痛であるということの『あるがまま』とは、まったく反対であるからである。」

森田療法でいう「あるがまま」は、不安があるまま、そしてその背後にある欲望もあるがままに、気持ちが揺れながら目の前の生活のことに取り組んでいく姿勢のことを指します。Aさんは「好きなことやりたいことを考えると予期不安に襲われます」と書かれていますね。それもまた、自然な気持ちのあり方です。また書かれているように、「丁寧にやろう」と思っていても焦ってしまうことがあるのも自然なことです。不安や焦り、また胸の不快感などが出てきた時に、それを無理に抑えようとするよりも、その気持ちがありながら目の前のことに取り組んでいくこと、そして取り組めたことをしっかり認めることが「あるがまま」に繋がる一つの付き合い方だと思います。

Aさんは、「元々神経質なわたし」と書かれていますね。気にしやすい面と同時に、向上心の強さや何事もきちんとやりたいお気持ちも強いのではないかと想像します。「自分を許せない」というお気持ちも、より良くありたいという想いの強さの表れとも言えるかもしれません。だとすると、今の気持ちの揺れを、むしろしっかり味わっていただきたいと思います。なぜなら、色々な気持ちになりながら生活を過ごしていくことで、心の器が広がっていき、人としての成長に繋がっていくからです。Aさんの試行錯誤を応援しております。
(金子咲)

「不調な時のあるがまま」 '26.01 

Hさんは、さかのぼること数年前、うつ病と診断され休職をされていました。そこから先、森田療法の考え方や他の方の体験談などを支えに進んでこられたようです。その過程では、不安で何も手につかないという経験や、将来を不安に思うこともあったとのこと。しかし徐々に外出が出来るようになり、諦めていた電車に乗れるようになったという変化も書かれていました。しかし再び体調の変化に神経質になり、今までやってきたことが水の泡のように感じることもあったようです。体調の波に一喜一憂しながらも、しかし確実に進んでこられた様子が書かれていました。本当に苦しい日々だったのではないかと想像しますが、頑張ってこられたのですね。

直近のご様子では、お仕事にも戻られているようですが、再び不調の波が来ていて、このまま昔のように寝たきりになるのではないか、迷惑をかけるのではないかと不安になっているようです。そしてHさんは、不安が強くなり、ひよってしまう自分が許せないと感じていると書かれています。

うつ病になった当時、Hさんは、二児の父として、仕事をしつつ子育てや家事全般も担当していたとのことでした。このような状況から想像すると、Hさんは何事も頑張るタイプなのではないでしょうか。そしてHさんには、弱い自分はあってはならない、人に迷惑をかけてはならないという「かくあるべし」の姿勢があるのではないでしょうか。

もちろん、回復の光が見えてきた時に再び不調が来ると、また同じような状態になるのではと不安にもなりますし、悪い想像をしてしまうのも自然なことかもしれないですよね。しかしここで、弱気になってはいけないと考え始めると、不調に対して過剰に敏感になってしまい、ますます不安になります。そして不安になる自分をそうあってはいけないとかくあるべしの構えで関わると、ここに堂々巡りの悪循環…。

このような時は、不調というのは波を繰り返しながら徐々に底上げしていくものだと考えてみるもの大事な視点になるでしょう。そしてそれはご自身が不調になり回復された経験からもご存じのことではないでしょうか。ご自身でもこう書いています。“電池が切れかけているときはゆっくり休む”。本当にその通りですよね。それが自然です。まずはそっと充電。かくあるべしの姿勢ではなく、不安な気持ちはそのままに、今の自分に必要な過ごし方を探ること、これが今大切なあるがままなのだろうと思います。もちろん主治医の先生ともよくよく相談をしていただきたいと思います。一人で頑張らないことも忘れないでほしいと願いつつ。応援しています。
(渡辺志保)

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