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症状別アドバイス集

その他の部屋

「生の欲望が過剰な時には」 '22.3 

Tさん、こんにちは。症状がありながらも目的へ意識を向け、仕事に励んだ結果、順調に実績を上げているのですね。森田療法を学び、実践されている姿勢がすばらしいです。一方で、成長欲求が強すぎるあまりに、過剰な目標設定をし、それが度を越した行動へ繋がり疲弊してしまっているとのこと。今は、強い生の欲望と自分のエネルギーとの折り合いのつけ方に悩んでらっしゃるのですね。takenokoさんのこうしたお悩みは、多くの方が経験される大切な葛藤ではないかと思います。

「生の欲望を尊重する森田療法では、その過剰さとの付き合い方はどう考えるのでしょうか。」と書かれているTさんの思いに対して、森田療法の視点からコメントをさせていただきます。

森田が「欲望はこれをあきらめることはできぬ」という言葉や、「われわれの完全欲、すなわち向上心があることは、ちょうど水が低きにつくのと同じ自然の勢力である。水はどこまでも流れ流れてやまざらんとする。」という言葉で述べているように、生の欲望には際限がないということが分かります。

しかし、Tさんも葛藤されているように、私たちの身の回りには、限りがあるもので溢れていますよね。例えば、身体が健康でいられるためには、永遠と酷使し続けることはできません。1日は24時間しかありませんし、作業も一人で出来るものには限界があったりします。こうした様々に限界のある事実と、生の欲望との両方を見て、折り合いをつけていくことが大切です。

では、折り合いをつけていくための手がかりはなんでしょうか?まずは、「できないこととできることを分ける」ということです。私たちは限界を超えてやっていくことは出来ないですが、限界があるという事実を認めることはできます。また、限界を認めるに伴って生じるもどかしさや、不本意な気持ちを無くすことはできませんが、その気持ちのまま過ごしてみることはできます。そうしたすみ分けを頭に置いておくことで、余計な空回りを無くしていくことができます。

Hつぎに、「できることの中でも優先順位をつける」ということです。例えば、仕事の中でも特に重要なものに絞って、それに力を注ぎつつ、他はほどほどにしていくという形です。全部を自分一人でやるのではなく、任せられるものは誰かに任せてみるのも一つかもしれません。そうすることで、自分の力をどこに注いだら良いのかが分かっていきます。

これらを意識しながら、是非Tさんなりに試行錯誤されてみてください。成長したい生の欲望にのって、Tさんに合った過ごし方が見つかることを願っています。 (金子咲)

「追えば追うほど大きくなる不眠恐怖」 '22.2 

Hさんは不眠不安に悩まれているとのことです。入眠障害を完治させたい、不眠に不安感を感じないようになりたいという思いがとても強そうです。

経過の中で、いったん不眠恐怖に悩んだものの、「寝られるときに寝ればいい」という考えに転換していつも通りに眠れるようになった。けれどもそのあと1週間ほどして、眠れない夜があったときに不眠の恐怖がフラッシュバックして、不眠恐怖が再発したと書かれていました。

今も眠れない日が多いのでしょうか。それともむしろ「不眠が治っていない」ことの苦しさが大きいのでしょうか。この違いは大きいです。

どうもHさんは「不眠恐怖」というおばけに右往左往させられてしまっている気がするのです。睡眠というのは難しいもので、追えば追うほど逃げる影のようなところがあります。よく眠れない日が二日あると不眠だと疑い、自分で病気化してしまって、一日でもまたよく眠れない日があるとショックを受けてしまう。

文面からHさんは気になることはすぐにしっかり治していきたいやや完全主義的なところのある方ではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。几帳面な人や完全主義的な人は足りないことに目が行きやすいものです。毎日思ったように眠れないと(不眠恐怖が完治しないと)自分が何か足りない人間のような気がしたり、睡眠時間によって自分を判断するのはもったいないと思いませんか?Hさんの几帳面さや集中力を仕事に注げばすごく良い仕事ができそうに思います。

Hさんが、2か月ほど前にある日眠れず、翌日眠れたと述べられていたように、身体は自然なもので、疲れると自然に眠りに落ち、必要な休息をとっていくものです。

不眠が気になると、この症状さえなければと思ってしまいがちですが、不眠へのとらわれは日常生活の広がりとともに良くなってくるものです。不眠だと○○できないのが困るのだとしたら、不眠が解消されるまで待つのではなく、○○にまず手を出してみましょう。完全に問題が解消されるまで待ってから行動するのではなく、症状があってもできることから手を出していくことが自分の望んでいる生活の実現に繋がっていきます。0か100かではなく、10,20の積み重ねが100につながっていくという事実に基づいた考え方です。

今は、アルバイトと就活をされているようですが、それをできる範囲でしっかりやること。そして趣味などが100%楽しめなかったとしても、やらないよりはちょっとだけでもできたらよしと考えてよいのではないでしょうか。気になることがある時に、心が完全に晴れないのは自然なことです。少しでも楽しい時間が持てたことで良しとして、楽しい時間を50%、60%と増やしていきましょう。全体としてみるとかなり充実した生活になっていくと思いますよ。 (矢野勝治)

「抑うつ状態が悪いときは、諦めて休むことも大切」 '22.1 

Rさんは1カ月前から、何もやる気がおこらず、睡眠障害もあり、引きこもって生活をされております。病院で抗うつ薬を処方されて、現在も内服されているようですが、「やる気を取り戻してなんとか動けるようになりたい」と考えていらっしゃいます。

やる気がでなくて、眠れなくて、家事も出来ずに引きこもって生活している状態というのは辛いですよね。ここに書かれていることだけなので、詳しいことは分からないのですが、Rさんは現在、心身のエネルギーが少なくなっている「うつ状態」であることは確かなようですね。

この「うつ状態」の要因にはいわゆるうつ病からくるもの、ストレスからくるもの、他の病気や要因からくるもの、と様々あります。それによって対処方法は異なる部分もあるのですが、今のRさんの状態は、まずは休養と薬物療法が必要なのではないかと感じます。

やる気がなくて動けない状態が続き、睡眠障害も伴っているということであれば、今は心身のエネルギーが殆どない状態であるということだと思います。ですから、まずはその現実を受け入れて、無理をせずにしっかりと休養をとる必要があると思います。このようにエネルギーがない状態にもかかわらず、「こんなことではいけない」「怠けてはだめだ」「なんとかしなくては」という構えから、無理をして動いてしまうと、うまくいかないだけでなく、ますます「うつ状態」が長引いてしまうといった悪循環を招いてしまいます。

うつ状態が回復してきた際には少しずつ生活も回復させていく必要があると思いますが、今は焦らず、ある意味諦めてしっかりと休息をとることが、回復の第一歩になると思います。 現在の主治医の先生とも良く相談されながら、どのように過ごしていくと回復しやすいのか、を探りながら、実践していって下さいね。回復をお祈りしております。
(谷井一夫)

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