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症状別アドバイス集

不安神経症の部屋

「前に謀らず(はからず)、後に慮らず(おもんばからず)」 '20.5 

Nさんは、お子さんの病気や怪我に関する不安に苛まれているとのことでした。具体的には、過去の自分の行動を思い返しては「~すべきだった」「~しなかったので、~になってしまったかも」と考え、後悔・心配ばかりの毎日が苦しいと書かれていました。 確かに大事なお子さんのことですから、大病をするのではないか、怪我をしたらどうしよう・・・とあれこれ心配に思うのは、自然な親心ですね。 ただ、Nさんが「何故か過去のことばかり」と書かれているように、過ぎてしまったことを後悔するばかりでは、過去に戻ってやり直さない限り、納得は出来ないでしょう。しかも「子供が元気に見えても、検査等をしないとわからないことは不安でたまりません」となると、未来も含め全てを把握しないと落ち着かないことになってしまいます。つまり、過去も未来も全てが心配の種になってしまうということですね。

では、どうしてこのように後悔と不安に苛まれてしまうのでしょう? 私たちは、失敗をしたくない、不幸な出来事に遭遇したくないと思うものです。それは、健やかに安心した生活を送りたいと願うからこそです。そうした日々を手に入れるために、私たちは色々心がけて生活をするわけですが、それでも予想外の事が起きたり、避けられない事態に陥ることもあるでしょう。 Nさんの場合であれば、いくら母親が全てに注意を払ったとしても、100%安心・安全な人生を保証することは不可能ということなのです。

ではどうしたらよいのでしょう? 森田先生は、こうした心配性の人達に「前に謀らず、後に慮らず」といった姿勢を伝え、次のようなお話をしています。『たとえば、私が自分がこんな病気がなかったらよかろうに、あの大正十年に、流感をおして講演をやらねばよかったのに、さては一昨年、あの夜、活動写真を見に行かなかったら、肺炎にもかからなかったろうに、とか既往の失策の繰り言をいわないのを「前に謀らず」といいます。「後に慮らず」とは、自分は旅行の途中でつい大患にかかったら、九州で死ぬようなことがあっては、というふうに未来の取越苦労をしないことである。結局は自分が欲望に乗り切るために、その現在現在において、戦々恐々、注意に注意をして、間違いのないようにし、そのうえもしいけないことがあれば、それは天命であって、倒れて後やむのみである、というふうに、その時々の現在になるのである』。

つまり、過去の繰り言をいったり、当てにならない未来のことを空想するのではなく、ただただ「今・現在」に目を向けて生活をすることを促しているのです。実際、過去を変えることは出来ませんし、未来を全て把握することも出来ません。健やかで幸せな子供の人生を望むのであれば、今目の前にいるお子さんとの生活を大切にし、そこで出来ることにエネルギーを注ぐことが、結局はお子さんの笑顔、親子の充実した時間に繋がるのではないでしょうか。

今、私たちは、見えないコロナウイルスの不安とどう付き合うかを問われています。そこでも同じように、現在になりきる姿勢が求められているのではないかと思うのです。
(久保田幹子)

「空回りせず、今は焦らずゆっくり療養する時期」 '20.4 

Uさん、はじめまして。パニック障害に加え、気持ちの落ち込み、食欲低下、不安等がある中、コロナウイルスの不安も加わりとてもつらい時期ですね。Uさんの文章から、自分の力でなんとかこの難局を克服しようと頑張ってこられた姿が目に浮かびます。

そんな中、心療内科を受診し主治医の先生と相談され、お薬の治療が開始されたことは大きな一歩だったと思います。治療を受け一時回復されましたが、今は再びエネルギーが枯渇し、うつ状態となっているようです。

人は誰しもうつ状態に陥ると、自分は怠け者だ、努力が足りないと思い、無理をしがちです。Uさんも、無理して頑張るけれど以前のように家事ができず、自分を責め、さらに落ち込むといった悪循環に陥ってはいませんか?

今必要なことは、「いつも通りにやらなければ」という気持ちを一旦脇に置き、空回りせず、質のよい休息を取ることです。入院森田療法では、はじめの7日間を臥褥期と呼び、部屋で何もせずひたすら横になって過ごしてもらいます。そうする中で、少しずつ「〜したいな」という気持ちが湧いてくる。その気持ちが出てきたら、少しずつ活動してみるようにアドバイスしています。

Uさんは自宅で療養されているので、何もせずゴロゴロ過ごすということは気が引けるかもしれませんが、「急がば回れ」で今は自然と気力が出てくるまで待つことが大切だと思います。もし家でゆっくり休むことが難しければ、主治医の先生と相談し、自宅以外で休んでみるのもよいかもしれません。自分に合った療養ができれば、きっと回復に向かっていくでしょう。

それから、服薬も大切です。今の体調不良は病気だから仕方がないと開き直って、薬に頼ってみてはいかがでしょうか?「自力でなんとかしよう」と悪戦苦闘する状態から抜け出すきっかけになるかもしれません。体調がよくなってから、少しずつ減薬することをお勧めします。

何はともあれ、お悩みを一人で抱えず、空回りせず、自分の自然回復力が発揮されるような環境を整えることに意識を向けてください。Uさんの回復を願っています。
(鈴木優一)

「先の不安は仕方なしに今できることをやっていく」 '20.3 

Yさんは10年前にパニック障害で悩んでいらして、それから一時症状がおさまった時期もあったようですね。しかし、何か悩み事がある度に先々悩む癖があり、不眠や強い不安感が生じてしまうとのことです。最近では、犬の病気のことで悩み、今までにない不安感が生じてお困りのようですね。Yさんは「どうにかしてこの病気を治したい」と強く希望されていますが、治ることについてどのようなイメージをお持ちでしょうか。元々ヨガのインストラクターをされていて、普段明るいYさんとのこと。もしかしたら、何かに悩んだり、強い不安がある状態は自分らしくないと思うかもしれませんね。

しかし、不安はそんなに悪いものでしょうか。森田療法では、不安の背後に欲望があると考え、物事には両面があると捉えます。この観点からみると、Yさんが犬の病気のことで不安になるということは、それだけ犬を大切に想う気持ちが強いということですね。また、Yさんの先々悩む癖については、それだけ先々の安全を求める気持ちが強いということでしょう。

何か悩み事がある度に不安になるのは、自然なことと捉えることが出来ます。一方で、先の安全を求めるがために、不安を無くそうとすればするほど、考え込んで不安がよりいっそう強くなり、不眠など体の不調にもつながってしまいます。

先のことがどうなるかは、誰にも分からないことですね。案外うまくいくこともあれば、どれだけ手を尽くしてもうまくいかないこともあります。だからこそ、不安なままで仕方なしに、大切に想うことのために今出来ることを精一杯やるしかないのですよね。今のYさんはどうでしょうか。犬のために出来ることを精一杯なさっているのではないでしょうか。こまごまと様子をみてお世話をしたり、具合が悪いと病院へ連れて行ったり忙しくされているのだと思います。その時に、不安を含む色々な気持ちが浮かぶままで仕方ないのです。

普段は明るいYさんですが、時には悲しんだり、苛立ったり、様々な気持ちがYさんの中で浮かぶこともあるでしょうし、時にはご家族にもYさんの気持ちを見せてみても良いのではないかなと思います。悲しいことですが、犬とのお別れは、いつかは訪れてしまいますね。だからこそ、今犬のためにできること、犬と一緒にしたいことを精一杯に、Yさんにとって後悔が少なくなるような時間を過ごしていただきたいと思います。
(金子咲)

「直面しにくい感情と向き合う」 '20.2 

Gさんにとって、結婚して実家を離れる、出産するということは本当に大きな変化です。特に真面目な性格の方はその環境に完璧に自分を合わせようとするあまり、様々な不調を自覚することがあります。うがいの件、火の元や鍵の確認、人と話して傷つくことの恐怖については、それぞれ別々の症状に見えますが根本はつながっている印象です。

 それらは全て「万全な状態ではないと安心できない」というものですが、万全ではないとどうなってしまうことが不安なのでしょうか?どうなることを恐れているのでしょうか?うがいや確認を最低限にとどめることは現実的な対応法ですが、その根本にあるGさんが直面しにくい感情と向き合うことが解決へのプロセスとなります。

真面目な方は周りに合わせるあまり、自然な感情を抑圧して過ごしています。例えば、「子育て、家事を頑張るあまり、自分のやりたいことを犠牲にしている」「苦しいのに人に頼れない、どう頼ったらいいのかわからない」「友達に相談したいけど、嫌われるのが恐くて相談できず孤独」など環境の変化によって症状の背景に様々な感情を抱えているケースが多いです。そういった感情と向き合っていくプロセスをカウンセリングなどで発見していけるといいですね。直面しにくかった感情を意識できると、例えば前述した例で考えると「今までは自分を犠牲にしてきたけど、自分のやりたいことをやってみる」「頼れなかったけど、思い切って人に任せてみる」「恐る恐る友達に気持ちを打ち明けてみる」など行動を変えていくことができます。行動が変わってくると不思議なことに自然に様々な不安とも付き合えることになります。

森田先生のことばに「互いに他人の苦痛に共鳴し同感する事が神経質の治る第一歩である」ということばがあります。まさにその通りで感情と向き合い、人と共有すると変化が生まれます。
(大久保菜奈子)

「構えすぎず無理ない範囲でやっていく」 '20.1 

Mさんは、昨年の8月に倒れてから休職し、一度復職されましたが、めまい、ほてり、首肩の痛みから、また休職され、現在は再復職への不安で悩まれているとのことです。

急に度重なる症状に襲われて大変でしたね。10月に復職して以降は、身体の症状に加えて、不安・緊張の強まりから、仕事がさらに手に着かなくなった様子もあるようです。

体験フォーラムでのやり取りで更年期についての理解が進み、そしてAさんの「症状は出ます」という言葉で少し覚悟が決まったとのお話もありました。

Mさん自身が入眠障害について書かれていたコメントで「眠れなくても次の日眠ればいいじゃない」の一言で踏み出せたというエピソードを書かれていました。すばらしい!体調不良も復職もこれと同じです。自然に起こる体調の悪化(人間の生理、一次的現象)は仕方ないことなのでこれについてはあきらめ、必要な治療は行い、それぞれの症状が和らぐように過ごしましょう。こうすることで、「本来具合が悪くなるべきではないのに」という心理的葛藤からより症状が悪くなる悪循環(二次的現象)を防ぐことができます。

Jさんのアドバイスにあったように、自分のキャパシティを理解しながら進むというのもとても大事な観点ですね。更年期ならなおさら大事です。若い頃や病気をする前とは違う新しい自分の状態に慣れていくということを英語では自分のnew normal(ニューノーマル)に慣れていくという言い方をするそうです。それが無理な目標に向かって自分を追い込まず、今頑張っている自分を温かく見つめられる秘訣かと思います。

そして、戻った時に再び体調不全になると何が困るのか具体的に考えてみましょう。困るのは実際の仕事の内容についてですか?それとも職場の周りの人の目や反応でしょうか?そしてそれぞれのことについて具体的に対策を考えていくとともに、更年期や不慮の病は自分ではどうしようもないことなので、落ち着くまでは引け目を感じすぎることなく、会社にもやって頂けるサポートをしてもらうのも一案です。
(矢野勝治)

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