スマートフォン専用サイトはこちらをタップ

症状別アドバイス集

不安神経症の部屋

「スッキリしないままでも、案外ダメじゃない」 '22.3 

Pさん、こんにちは。新しい職場に転職され、心機一転、すっきりリセットしてやっていくはずが、不眠や漠然とした不安感に襲われるようになっているのですね。それでも、ここまで何とか1年勤めてこられたとのこと。よく粘ってらっしゃると思います。

さて、 Pさんは「なかなかスッキリといかないこと」に悩んでらっしゃいますが、なぜそこまでスッキリしたいのでしょうか?スッキリしないことでどうなることが不安でしょうか?

また仕事で失敗してダメなやつと思われるに違いない」、「もう続けられませんと言うべきか」と書かれていますが、Pさんの方で結論を出すのは、いささか早いような気がしてしまいます。「白黒つけたい」思考があると書かれている通り、Pさんのそうした傾向から、生活の色々な側面でスッキリすることを求める姿勢へ繋がっているのだと思います。

例えば、「家族にも言えない」、「困った時に誰にも相談できない」、「服薬に抵抗がある」と書かれていることについても、人に話すことの不安や、薬に頼ることの心配な気持ちを出来るだけ無くして、スッキリしようとする姿勢に通ずるのではないでしょうか。

こうしたスッキリを求める姿勢自体は悪いものではありません。しかし、中にはスッキリしたくてもなかなかそうはいかないこともありますよね。特に、睡眠などの身体の調子や気持ちは、自分の意志でスッキリさせようと思っても難しいということが、Pさん自身、痛感されているところだと思います。

ではどうしたら良いでしょうか。ここで、「不思議と仕事をしている時には回復してしまう」と書かれているPさんの経験が手がかりとなります。Pさんが仕事中に色々なことが気にならないのは、目の前の仕事に対して「現在になりきって」取り組んでらっしゃるからだと思います。

「なりきる」ということについて、森田は次のように説明しています。「われわれは人生の欲望に対して、常に念がけ、あこがれながら、その目的を見失わず、その現在の力のおよぶ限りのベストを尽くしている。これが『現在になりきる』ということの自然の状態である。しかもそのときには、自分で努力も苦痛も超越して、これを感じない、意識しないのであります。」というものです。

つまり、不眠や漠然とした不安があるまま、スッキリしないままに、ただ現在になりきって目の前の仕事に一つ一つ取り組んでいくことで、Pさんの出来ることが広がっていくのだと思います。「ダメな自分でも良い」ということがしっくりこなければ、「スッキリしないままでも案外ダメじゃない」くらいの感覚でやってみるのも一つかもしれません。
(金子咲)

「きっかけ×新しい状況への適応不安×症状の悪化」 '22.2 

Kさんはご主人にメニエール病の発作が起きることを極度に心配したり、初めての場所に出かけるときには数日前から強い不安を感じてパニックになってしまうとのことです。

メニエール病を発症したご主人よりも、Kさんが不安に圧倒されてしまわれているのですね。そして、初めての場所に対する不安は、昨年お父様が亡くなられ、お母様が一人暮らしが心配になったころに生じたと書かれていました。自分の大切な人にいろいろなことが次々と起こったのですね。

今の不安発作はご主人のメニエール病、お父様の死など今起きている危機に対する反応として起きているようです。他の方が指摘されていたように、Kさんの優しくも自分を後回しにして自己主張をしない感情の癖や、相手に心配をかけないように頑張ってしまう性格がこの不安発作の発症に関係してもいるようです。

今の状況と性格要因が相まって、常にパニックと不安の発作準備状態が起きていると考えられます。(これまでに対応したことがない状況が起きる→もともと相手に合わせて自己主張しない傾向→自分で何とかしようする→でもどうしたらよいかわからない・思うようにできない→心身ともに圧倒されて身体に不安症状(涙・吐き気・頭痛・震えなど)が出る)といったからくりがありそうです。

自分で何とかしようとすればするほど症状が強まり、症状が強まることで不安も募り、自信を消失する悪循環に陥ってしまっているのではないでしょうか。

自分を大事にする、自分が一人でできるホッとできることを見つけるなど、フォーラムの方々のアドバイスを一つ一つ実行されて行っているのはとてもすごいです。新しいことを試してみるのは勇気がいることですから!

森田療法では不安の背後には欲求があると考えます。発作準備状態を改善していくためには、今の心理的な負担と今の生活のあり方をとらえなおして抱え込みすぎない態度を改善し、不安に向かっているエネルギーを生活や自分のやりたいことに生かしていくことが大切です。

心理的な負担や葛藤を見つめるためには次のような質問が浮かびます。ご主人が発作を起こすと(ご主人が苦しい以外に)自分にとっては何が不安なのでしょう?お母様の一人暮らしについて浮かんでくるのはどんな気持ちですか?お母様の何が心配なのでしょう。お母様は実際にはなんとおっしゃっていますか。娘だから何かしないといけないと自動的に考えているところはないでしょうか。お母様や周りの気持ちや意図を気にせずに判断できるとしたら、自分自身はどうしたいですか?

もしできそうであれば、その中身を紙に書いて整理してみてください。そして自分一人で何とかしようとせずに机上に出してみましょう。紙に書くのが難しければ、ご主人や岡本財団の電話相談、専門家を相手に話しながら整理していくのもよいですね。一人でなんでも対処できないことが恥ずかしいことではありません。必要な時に必要なサービスを探して使っていけることが今の時代を生きていく成人にとってとても必要な力です。自分の率直な気持ちを見つめて、一つ一つ整理して行動していく中で、自分への自信や安心も必ず増えてきます。
(矢野勝治)

「なんとか場に踏みとどまるために」 '22.1 

Mさんはパニック発作とその予期不安から広場恐怖があり、留守番が怖くてできずに困っていらっしゃいます。また、今までなったことのない過呼吸になるかもしれないという不安にもとらわれて、日常生活が不安だらけでとても悔しい思いをされています。

Mさん、発作の恐怖はありながら、パートが出来るようになっているとのこと、素晴らしいです。少しでもMさんの日常生活が広げられればと思い、コメントさせていただきます。

パニック発作は非常に強い恐怖を伴うものですが、その発作で死ぬことはないこと、ほうっておけば、時間とともに緩やかに回復していくという性質を持っています。まずはこの性質をしっかりと覚えておきましょう。

そもそも、留守番も含めて、1人の時というのは、発作の有無に関わらず、「何かがあったらどうしよう」と心細いものです。その状況で、「発作を起こしたらどうなってしまうのだろう」とより不安が強くなるのも当然でしょう。

また、過呼吸発作に関してはMさんにとって体験したことのない未知のものであり、未知であるがゆえにより恐怖が強いのだろうと思います。ちなみに過呼吸発作もパニック発作と同様に死ぬことはありません。

Mさんは発作の性質を頭では分かっていても、不安な場面にいると「どうしても逃げたい、安心したい」と場を離れてしまうようですね。ここは、頭ではなく、体で覚えていく必要があるのでしょう。つまり、その場になんとか踏みとどまってみるという体験です。

その場にいるときに、安心して過ごす必要はありません。心配だな、嫌だなという気持ちのまま、なんとか踏みとどまるのです。不快な感情を抱えたまま踏みとどまることは大変なことですが、そのときに、不安をなくすこと以外で、「今出来ること」に手を付けてみましょう。具体的には「たまった洗濯物をたたむ」「部屋を掃除する」「好きな本を読む」「夕飯の準備をする」などなどなんでも構いません。少しでも注意が不安から他の方向に向かえば、少し踏みとどまりやすくなると思います。

なんとか克服したいと思っていらっしゃるMさんなら、なんとか踏みとどまれるはずです。頑張って下さいね。応援しています。
(谷井一夫)

SEMINAR

Copyright (C) 2009 The Mental Health Okamoto Memorial Foundation