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症状別アドバイス集

不安神経症の部屋

「自然な心と身体の回復を大切に」 '21.7 

こんにちはTさん。流産を経験されたのですね。その後1か月程経った頃からパニック発作が出るようになり、最近では睡眠時に発作が出ることが続いたため、睡眠時の恐怖感が強くなっているとのこと。お辛いですね。

まずはTさん、今は身体を休めることはできていますでしょうか。出血も続いてらっしゃるようですから、身体がまだ回復しきっていないのかなと想像します。女性の身体は、妊娠状態になると大きく変化するものですし、流産をされると、少なからず負担がかかります。身体だけではなく、心も同じです。そうした心身の変化が色々な形で影響して、今回のパニック発作が生じたのかもしれませんね。

さて、Tさんはこちらのフォーラムの記事を読まれたり、他の方とのコメントのやりとりを通して、とても良い気づきをされていますね。「焦らず今できることに淡々と取り組む」「やり過ごせた時の達成感を大切にする」「そのうちに寝られるだろうと考えてみる」というようなことが書かれていて、Tさんが柔軟に新しい視点を取り入れられていることが良く分かります。すばらしいですね。Tさんも気づいてらっしゃるように、私たちは本来、自然に回復する力をもっています。その力を発揮するためには、今は焦らずに心身を休めて、出来ること・出来ていることに目を向けていくことが大切ですよね。

私からは、心身の回復のために、Tさんの気づきを後押しするポイントをお伝えできればと思っています。まず大事なことの一つは、辛い時には、薬を飲むことを自分に許してあげることです。Tさんは不妊治療を受けてらっしゃるようですから、薬を飲むことに抵抗を感じるのは当たり前ですね。それでも、薬を飲まないで我慢していると、かえって症状が重くなってしまう場合もあります。

Tさんが書かれている「まずは薬も味方につけて、体調を戻すことを大切にしようと思う」というお気持ちをどうぞ大切にされてください。不思議なことですが、私がお会いした方の中に、一旦不妊治療への力を緩めて自分の回復に目を向けた時に妊娠した、という方が何人かいらっしゃいました。遠回りかと思ったら、かえってそうでもなかった、ということもあるものですね。

それからもう一つは、身体のこと(パニック発作を経験すると、「また発作がくるのでは」と不安になるものです)ばかりに意識を向けずに、ささやかな日々の生活に目を向けてみることです。そういった意味でも、Tさんが実践されている日記をつけることはとても良いと思います。日記を通して、日常のことに気づくきっかけが得られることは多いですものね。

Tさんは、とても豊かな感性を持たれている方だと思います。これからもどうぞ、Tさんの心と身体を大切に、一日一日を過ごされてくださいね。
(金子咲)

「久しぶりの発作!でもこれも乗り越えられる」 '21.6 

Aさんは3人目のお子さんの出産2か月前に久しぶりの大きな発作が起き、その後不安な日々が続いているとのことです。

4時間以上も発作が落ち着かなかったのは苦しかったですね。もうこんな思いはしたくないと萎縮してしまったり、予期不安が強まるのも無理はないと思います。2人目のお子さんの出産前後安定しておられたなか、今回のお子さんの妊娠中に大きな発作が起きたことは特にショックが大きかったかもしれないですね。自分なりに工夫してパニック発作がなくなっていた後に発作を経験すると一回目の発作よりも打撃が大きく、ショックを受けて自信を喪失してしまう方がいらっしゃいます。発作は、自分がしている無理を身体が教えてくれる「身体からのサイン」かもしれません。出産2か月前というのはお仕事をされている方ならそろそろ産休に入られるころですし、母体への負担も増してきて、身体的・精神的にも疲れがたまってきていたということはなかったでしょうか?

まずはいろいろあった中でも3人目のお子さんを無事生むことができたことについて自分をよくねぎらいましょう。よく頑張りましたね。今必要なのは、第一に産後の身体の回復です。現在は、不安感から身体も心も休みきれていなさそうです。「回復してきたらまたできることをするからね」と自らに言い聞かせてまずは休みましょう。そして、第二に少し余力が出てきたら、自分は何が不安なのかを良く見つめてみましょう。不安な状態ですと何ができなさそうで心配なのでしょうか。不安の症状がなかったら、どんな生活を送りたいですか?深く深呼吸できるようになり、身体も休息が取れてきたら、第二で浮かんできた自分のやりたいこと・やるべきことに少しずつ手を出していきましょう。焦らず一つずつです。

8年付き合われているともう嫌になっているかもしれませんが、久しぶりの発作はまた自分を知り、自分がよりよく生きていく方法を知るチャンスとも言えます。今回の発作が起きたころ、発作以外に自分がアップアップ状態になっていることを教えてくれるような身体や気持ちのサインはなかったでしょうか?自分の仕事量やその時の身体のサインを知り、自分の身体のケアの仕方を再度学んでいくこと、そして自分でいろいろ引き受けてやってしまう頑張り屋さんの場合には、他の人に振れる仕事はないか分担と分散を考えていくことが大切です。

これまでいろいろと身体の症状や不安感に見舞われながらも、やってきたAさんはかなりの頑張り屋さんなのだと思います。産前産後は自分のキャパシティが少なくなっているので、今できないことで自分を責めたり、卑下しないようにしてください。自分の行動を振り返る中で、もし自分が家の中や外の仕事をたくさん引き受けてしまう傾向がありそうだったら、どんな気持ちからその仕事や役割を引き受けてしまうのか、どうして人に振りにくいのかを考えてみてください。良かれと思っての行動が結果として、自分の負担になっていることがあるかもしれません。
(矢野勝治)

「欲求が大きければ大きいほど、不安も大きくなるもの」 '21.5 

Gさんは40歳の時にパニック発作を発症して以来、予期不安に苦しんでいましたが、なんとか克服されてきました。1年程前から会社の代表取締役になられたことで、今後、仕事を務めることができるかという予期不安や死の恐怖が強くなっていらっしゃいます。現在は、日々自分でできることを疎かにしない、できることからは逃げない、という態度で生活を維持されています。その中で、無事に任期を全うしたい、会社の業績を少しでも良くしたい、というお気持ちももっていらっしゃいます。

Gさんはパニック発作の恐怖の中、10年以上お仕事などを頑張ってこられたのですね。とても素晴らしいと思います。その努力があったからこそ、現在の立場にもつながっていらっしゃるのだと思います。取締役になられたことで、これから先、仕事を全うできるのか、という不安が強くなっていらっしゃいますが、それは、Gさんの「会社に貢献したい」という生の欲望の裏返しであるともいえるでしょう。その欲求が大きければ大きいほど、不安も大きくなっていきますね。

ただ、Gさんも今までの経験からもご存知だと思いますが、この不安だけをどうにかなくそうとしても、とらわれて、ますます不安は大きくなってしまいます。そうであるならば、不安は不安のままに、今までGさんが「日々自分でできることを疎かにしない、できることからは逃げない」とやってこられたように、本来の欲求に基づいて行動をしていくことが大切だと思います。

先々の不安は「~かもしれない」ことで、今の「気分」ですが、今までGさんがやってこられたことはまぎれもない「事実」です。事実は疑いようのない真実です。今まで事実を積み上げてこられたこと、忘れないでください。今まで頑張ってこられたGさんであれば、きっと職務を全うされると思います。応援しています。
(谷井一夫)

「離脱症状からの回復について」 '21.4 

こんにちは、Iさん。現在、Iさんはレクサプロの断薬症状について悩まれているようですね。正直、向精神薬の効能に関する論文は山ほどあるのですが、減薬に関する論文は殆ど見当たりません。むしろインターネットなどで患者さん達がブログなどで、自分たちの減薬体験を綴っている方が多いと思います。私も当初、断薬症状はそこまで多くないと高を括っていました。しかし、蓋を開けてみれば予想以上に多いことに驚かされています。

離脱症状とは、内服を急激に中断することで、それまで薬物が脳内にあることで均衡を保っていた状態が一時的に崩れ、様々な自律神経症状を呈することを意味します。症状はレクサプロのようなSSRI(セロトニン再取り込み阻害剤)の場合だと、眩暈、頭痛、そして巷で言われるようなシャンビリという耳鳴りや皮膚の知覚過敏などが多いと思います。これは、当事者にとって大変つらい症状です。

これに対し、私は減薬を希望する患者さん達に以下のような治療法を試みています。まず減薬の仕方です。学術論文では二か月程度を目安に薬剤を漸減し中止することを推奨していますが、実際は1〜2年程度、人によってはもっと時間を掛かて、減薬するべきと、私は考えています。拙速な減薬は結局、離脱症状に振り回されるだけで、良好な経過を取らないと思っているからです。レクサプロの場合ではれば、0.75錠への減薬を行った後に、半錠、0.25錠へと減薬を2〜3カ月おきに進めていきます。最後、中止する際には、0.25錠を離脱症状が辛い時だけ内服することを保障しながら進めていきます。

減薬に対しては上記のように進めていく訳ですが、順調に進む方とそうでない方には、幾つかの違いがあります。その場合、体調、体力に気を配っているか否かが大きく断薬症状の程度を左右していると、私は感じています。つまり、体力がある方だと、環境の変化に対して自律神経が極端な反応を示さないからだと思います。そうだとすれば、森田療法で言われるところの心身同一論が、離脱症状対策にも一役買っていると思います。つまり、心の安定の前提には、身体、もしくはそれを取り巻く生活の安定が欠かせないのです。

一連の減薬方法はあくまで、私個人の臨床感覚に基づいたもので、普遍的でないかもしれません。けれども、森田療法を実践する一人として、より良い減薬方法を提案させていただきました。Iさんにとって、減薬が進む裏側でより健康的な身体と生活が醸成されることを心より願っています。
(樋之口潤一郎)

「パニック発作を恐れているときに」 '21.3 

Nさんは、「パニック障害になって9年が経ちます。」と書き込まれています。「通勤中にパニック発作になり、最近また、その道を通る前から緊張感や不安がでてきて、疲れます。」「深呼吸を繰り返したり、大丈夫!と自分に声をかけたりしてなんとか乗り越えています。他によい方法があれば知りたいです。」とのことです。

インターネットなどで対処法を検索してみると、不安のコントロールとリラクゼーション、という方向のアドバイスが多いかと思います。それもとても大切なことですが、「不安をコントロールしなければ」と考えることは、不安に注意が向き、さらに不安が増大するという悪循環を招くこともあります。

さて、Nさんは「他によい方法があれば知りたいです」とも書いています。不安をコントロールすることとは異なる、森田先生のこんな話があります。当時は心臓神経症と呼んでいたわけですが、その発作が今にも起こるのではないかと案じているときに、「自分の部屋の畳で大の字になっているときと同じ心境になろう」とすることは、なるほど修養法としては面白いが、実際には無理がある、というのです。

発作を恐れているときは、怖さになりきって、怖がっているのが最も自然なあり方かもしれません。パニック発作は苦しい、なければいいのに、というものであるのは違いありません。

一方で9年の間、パニック障害を抱えながら、文面を見るとお仕事も続けておられるようす、すごいことだと思います。この粘りをぜひ、大切にされてください。
 そして、なんとかたどりついた先でのできごとや見たもの・触れたものをしっかり受け止めるようにしていきましょう。ともすると素通りしがちになってしまいますが、移動の「目的」はこちらですし、Nさんの「生活」はこちらにあるのではないでしょうか。
(塩路理恵子)

「娘さんを大切に想う気持ちがあるからこそ、今じぶんにできることを大切に」 '21.2 

Sさんは、小学生からの嘔吐恐怖、高校生以降の会食恐怖等を乗り越えて社会人となり、その後もさまざまな症状がありながらも、就職、結婚、出産、子育てと人生を歩んできたことに感銘を受けました。

今回成人された娘様が重い病気の疑いがあり、心配でたまらなく、自分も手足がしびれてしまうようになり、不安障害が再発したと心配されているのですね。 私も自分の子供が重い病気の疑いがあったらと想像すると、不安で夜も眠れなくなりそうだと感じました。

森田療法を経験されたSさんはご存知と思いますが、不安の裏には必ず生の欲望が隠されています。子供に元気で過ごしていて欲しい、生きていて欲しいという気持ちは、Sさんがお子さんのことをかけがえのない存在だと心の底から思っているからに違いないと思います。

このような、内面から湧き出てくる感情は如何ともしがたく、不安から解放されたいと努力しても、気晴らしをして紛らわそうとしても、変わることはありません。森田先生は、「欲望はこれをあきらめる事はできぬ」、「死は恐れざるを得ず」と述べています。

不安な気持ちを抱えることは覚悟がいることですが、不安な気持ちを解消しようと右往左往するのではなく、不安でいいのだ、不安になって当然だ、不安にならなかったらおかしいよ、と自分に言い聞かせてみてください。もし不安のままになりきることができれば、今自分に何ができるのかが見えてくるでしょう。

娘さんは成人されているようですので、自分で考え行動する力を持っていると思います。娘さんに変わって自分が病むことはできないですから、Sさんにできることは、娘さんが悩んだ時に相談に乗ってあげることだと思います。そのためにも、今できているご自身の生活の軸はぶらさず、時には頑張っている自分に優しく声をかけてあげてください。

娘さんを大切に想う気持ち、Sさんの優しさ故のお悩みと感じました。Sさん、娘さんのご健康を心より願っています。
(鈴木優一)

「“あるがまま”のからくり」 '21.1 

Aさんは、将来や老後のこと、いつまで健康でいられるか、仕事のトラブルが解決出来なかったら・・・など、先のことが全般的に不安になり、頭から離れずに困っているとのことでした。これまでにも同様の不安は感じていたものの、その時には「あるがまま」に過ぎ去ってくれていたのが、昨年11月以降は思うようにならず、特に早朝に目が覚めて調子が悪い日はなかなか回復できないと書かれていました。

確かに将来どうなるか・・・と考えると、色々不安になってしまうものですね。以前見た映画の中で、こんなフレーズがありました。「人生には3つの坂がある。一つは上り坂、もう一つは下り坂、3つ目はまさか」だと。人生には山あり谷あり・・・とは良く言いますが、予期せぬ出来事が起きるのもまた人生ではあります。そうした事態は、出来れば未然に防ぎたいものですが、シナリオ通りにいかないのもまた人生と言えるのではないでしょうか。

Aさんは、こうした予期せぬ出来事を未然に防ぎたいという気持ちがとても強いがゆえに、不安をつのらせてしまうのかもしれません。つまり、それだけ順調な人生を歩みたいという願望が強いということでしょう。それは、誰もが願う自然な気持ちであり、それ自体は決して悪いものではないのです。では、どうしてそれが頭から離れなくなってしまうのでしょう?

もしかすると、これまでのように過ぎ去っていかないことに違和感を抱き、「これではダメだ」と無理に解決しようとして、逆にこだわってしまっているのかもしれません(とらわれ)。森田先生は、『一度自分が「あるがまま」になろうとしては、それは「求めんとすれば得られず」で、すでに「あるがまま」ではない。なぜなら「あるがまま」になろうとするのは、実はこれによって、自分の苦痛を回避しようとする野心があるのであって、苦痛は当然苦痛であるということの「あるがまま」とは全く反対であるからである』と述べています。早朝に目が覚めて調子が悪い日は特に回復しない・・ということでしたが、早朝に目が覚めること自体も、何か悪いことの前兆と捉えてしまい、それを何とかしようとあがいてしまう結果、逆に不安ばかりに注意がひきつけられてしまうのかもしれません。

「あるがまま」を心がけること自体はとても大切なことですが、その結果、気になる事が流れていくとは限らないのです。将来のことが気になってしまうのも致し方ないことですし、健康に過ごしたいと思うけれど、確実にそれが叶うかどうかはまた別のことです。そうした願望を抱くことも、またそれがかなうかどうか・・と不安に思うことも、両方避けられない事実であり、自分なりに日々の生活に取り組む中で、人生を歩んでいる感覚が得られるのではないでしょうか。昨年まではそうして過ごせていたのですから、逆に「何とかしよう」と力まないことが、今の状況から自由になる方法なのかもしれません。
(久保田幹子)

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