神経症を治す〜神経症(不安障害)の治療方法

森田療法を理解する

森田療法の治療に対する基本的な観点は、次のような人間理解を前提にしています。神経症の根底に共通する心理は、死の恐怖や不安だということです。人間の生涯は限られており、誰もが必ず死に直面します。ですから、死を恐怖する感情は、本来人間にとって免れることのできない普遍的なものです。同時に死の恐怖の裏には、より良く生きようとする「生の欲望」があります。

不安や死の恐怖を抱く心の底には生の欲望、つまりよりよく生きよう、向上発展しようとする欲望があるということで、それらは表裏一体のものだと理解することが、森田療法のひとつの特徴です。

神経症の人は、自然な心の一部である死の恐怖を一生懸命に排除しようとし、内的に葛藤を起こしているのです。森田療法では死の恐怖や不安はそのまま認めます。認めたうえで、精神交互作用と思想の矛盾から脱出し、自然に従った心のあり方に沿って生の欲望をもっと発揮していこうとするものです。

一つは、「あるがまま」という言葉に象徴されるように、それまでの不安に対する態度を転換させることです。神経症の人は、不安と必死に戦ってそれを排除しようとし、ますます不安を増長させています。その戦いをやめ、不安をそのままにしておく態度を醸成していくのです。

「あるがまま」というと、症状を我慢しろ、もしくはあきらめろといったニュアンスで受け止められることがありますが、森田療法での「あるがまま」は単なるあきらめとは異なり、もう少し積極的な意味合いがあります。不安の裏にある生の欲望を、もっと建設的な行動に発揮していくのです。このことが治療の基本的な考え方の二つ目です。言い換えれば、症状をあるがままに認めたうえで、自分を生かしていくということです。

そういう意味で、単に症状が起こらないようにすればいいというのではなく、その人の心の成長を促すことも、治療の最終的な目標になります。

以下、治療の基本をここでは便宜的に二つに分けて説明します。

入院森田療法の基本

森田療法において大事なのは、不安の裏には自分が向上・発展したいという強い欲望が存在しているからこそ悩んでいる(=不安と欲望は表裏一体)ということを、本人が体験によって実感することです。そのため、不安や恐怖を排除しようとせず、あるがままにおきながら自分の建設的な欲求にしたがって活動していくことを、体験的に身につけるのです。これらのことは、頭で理解するだけでは不十分なのです。

そのため、森田療法では入院療法が大切になります。日常生活に支障をきたしている状態の人などは、入院療法に適しています。たとえば、パニック障害で外出や乗り物に乗ることが困難な状態、対人恐怖症で人中にいられない状態、強迫性障害で一日何時間も確認したり手洗いをしたりするような状態などです。そのほかに、外来で治療を受けてきたけれど今一つ行動を広げることができなかった人も入院治療に訪れたりします。

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外来(通院)森田療法の基本

森田療法の本を読んだり耳で聴いたり体験フォーラムに参加したりして、自習学習して回復することも可能です。頭では森田療法の理論を理解できても、不安をそのままにした状態で自分の行動を広げて行くことが難しくが、社会生活はなんとか可能という方を対象には、外来治療を行っています。

外来森田療法では、日記などを利用して話題の土台を日々の生活におき、問いかけることから始まります。たとえば、「何をよくしたいのか」という問いから始まり、さらに「どのようによくなりたいのか」、あるいは「よくなった後はどんな自分になりたいのか」といった問いかけを重ねていきます。

多くの人が「症状を取りたい」と考えます。しかし、症状がよくなってどんな状態なりたいのか、何をしたいのか、回復後の具体的な希望に焦点を絞ることが大切です。つまり、症状の裏にある生の欲望を探し当てることが大切なのです。なぜならば、欲望と不安は心の表と裏に存在していて、切り離せないものだからです。

神経質性格の人には、特徴的なパターンがあります。それは、本来の目的を見失い、その目的を実現するための手段や条件が目的になってしまうという点です。不眠恐怖症を例にすると、この症状には頭がすっきりした状態で勉強や仕事に臨んでよりよい成果を達成したいという目的が存在しています。そのための条件として、十分な睡眠をとらなければならないと考えているのです。しかし、この十分な睡眠をとらなければならないという条件にとらわれ過ぎて、寝よう寝ようとして、かえって眠れなくなってしまったのです。ただ単に症状を取り除くことが治療の目標ではなく、症状に対するとらわれから自分を解放し、そのうえで生活を立て直していくことが重要なのです。

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