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神経症を治す〜神経症(不安障害)の治療方法

森田療法とは

■森田正馬博士(1874〜1938)

森田療法を考案した森田正馬は1874年に生まれ、1938年に肺炎で死去された。1898年、東京帝国大学医科大学入学。1903年、東京慈恵会医院医学専門学校教授となる。森田療法の確立は1919年頃といわれている。1937年、東京慈恵会医科大学名誉教授。

森田療法は、1919年頃に我が国の精神科医、森田正馬によって創始された神経症に対する精神療法です。森田療法は、対人恐怖や広場恐怖などの恐怖症、強迫神経症、不安神経症(パニック障害、全般性不安障害)、心気症などが主たる治療の対象であり、これまでに高い治療効果をあげてきています。また最近では、慢性化するうつ病やガン患者のメンタルケアなど、幅広い分野に有効と言われています。

森田が着目したのは、多様な神経症症状の背後には、内向的、自己内省的、心配性、小心、敏感、完全主義的性格等の神経質性格(※注)が比較的共通して認められることでした。この神経質性格を基盤にして、「とらわれ」という特有の心理的メカニズムが働き発症すると考えたのです。その心理的メカニズムには、精神交互作用と思想の矛盾が含まれます。精神交互作用とは、注意と感覚が悪循環に作用して、ますます恐れや違和感が強く感じられることです。また、思想の矛盾とは、不可能を可能にしようとする心の葛藤のことです。森田療法では、症状へのとらわれから脱して、「あるがまま」の心の姿勢を獲得できるよう援助します。「あるがまま」とは、第一に不安や症状を排除しようとするはからいをやめ、そのままにしておく態度を養うことです。第二には、不安の裏にある生の欲望(向上発展の希求)を建設的な行動に発揮していくことです。

森田療法とは、不安を抱えながらも生活の中で必要なこと(なすべきこと)から行動し、建設的に生きることを教え、実践させる治療方法です。つまり、「あるがまま」という心を育てることによって神経症(不安障害)をのりこえていくことが主眼です。したがって、生き方の再教育とも呼ぶべきものでしょう。

※(注)神経質性格とは
神経症の成因を理解するには、心理的要因、身体的要因、社会的要因の三つが複雑に絡み合っています。神経症の重要な心理的要因としては、もともとどういう性格傾向にあるのかが関係してきます。森田正馬のいう神経症になりやすい典型的な性格傾向には神経質性格があります。神経質性格とは次のようなものです。

  • 内向的、自己内省的
  • 心配性、小心、敏感、些事にこだわりやすい・・・ものを気にしやすさ。
    弱気な性格傾向。
  • 完全主義、理想主義、頑固、負けず嫌い・・・生の欲望。強気な性格傾向。

このように神経質性格は、弱気と強気の両面を有する性格です。弱気の部分と強気の部分が共存しているだけに、弱気な自分を強気な自分が許容できずに、内的な葛藤を招きやすいと考えられています。

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