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神経症を治す〜神経症(不安障害)Q&A

Q1:神経症になりやすい人とは?

A:

神経症になりやすい性格の人があります。その代表が神経質性格です。これは森田療法を創始した森田正馬博士が提唱した性格のタイプで、(1)内向的で自己内省的、(2)小心、敏感、心配性、小さな事にクヨクヨしやすい(3)完全主義、理想主義、負けず嫌いという3つの特徴があります。このように強気と弱気の要素を併せ持つ性格のため、強気の性格が弱気な自分を許容できずに心の葛藤を引き起こしやすいタイプといえます。
また神経症傾向というのもあります。これは何か困難な事があった時に敏感に反応する傾向で、自分の感情をコントロールできず、困難への対処が下手であるという特徴があります。また「不安に陥りやすい」「怒りやイライラしやすい」「抑うつ」「恥ずかしさや冷やかしに敏感」「衝動的で、欲望や怒りをコントロールしにくい」などがあります。

Q2:親が神経症だと子供も神経症になりますか?

A:

そうとも限りません。確かに遺伝的な影響はありますが、規則的に受け継がれるような単純なものではありません。一方、神経症の親が子育てをすると、神経症的な傾向が影響を及ぼす事はあります。けれども一般に子供は家庭だけでなく、学校や社会の影響も受ける為、親が神経症だから、子供も神経症になるとは限りません。

Q3:神経症になると一生治らない?

A:

そんなことはありません。実際に神経症を克服した人は大勢いますし、むしろ克服した人の方が、その体験を通じて人間的に成長するという事も少なくありません。
例えば広場恐怖が悪化して仕事や通勤に支障をきたすようになったAさんは、以前はいわば強迫的に、自分の心身の状態を常にコントロールしようとしていました。トイレに行くのが怖い為に、朝食をとらず、常に通勤途中の駅のトイレがどこにあるかを把握していました。また生活のスケジュールを綿密にたてて、それに合わせて行動し、仕事以外のことは極端に関心が乏しい、そんな生活でした。
ところが、森田療法を実践してからは、不安や体調を自分で完全にコントロールできないし、しなくても大丈夫だと実感し、回復して仕事に復帰してからは、以前よりもずっと柔軟に現実を受け入れ、現実に合わせて行動を切り替えられるようになりました。

他の神経症克服体験例は、こちらへ。

Q4:一度治っても何かのきっかけで再発しますか?

A:

再発の可能性は否定できません。むしろ症状の再発はあり得ると考えていた方が良いでしょう。例えばパニック障害の人が一度治って、またその10年後、突然、何かのきっかけで、再発したようなケースはよくあります。
神経症にもいろいろありますし、その人の性格や環境の変化も少なからず影響してきます。したがって何らかのきっかけで不安になり、症状が再発する事もありかもしれません。
しかし、以前回復した経験をもつ人なら、どういう風に考え、回復したかを思い出し実践する事で、改めて対処すれば何とか不安をやり過ごすことができるのです。

Q5:神経症は心の問題なのに、薬は効くのですか?

A:

例えば抗うつ薬は、神経症に限らず、広く不安や自立神経の緊張状態を改善する働きがあります。さらに最近では、SSRIといった新しい薬が、パニック発作や強迫性障害等に有効であることも明らかになってきました。
しかし、神経症に薬が万能というえあけではありません。例えばSSRIが効果的なのは5割程度と言われますし、服薬を中止した後、症状が再燃する場合もあるといった問題点もあります。ですから、今日神経症にも薬は有効ですが、万能というわけではありません。

Q6:精神科の薬には副作用はありますか?

A:

どんな薬にも必ず副作用があります。特に神経症的な傾向がある人は、薬に対して敏感で、不安をもちやすい傾向があります。 主な抗うつ薬や抗不安薬の特徴や副作用は、当ホームページの薬物療法の解説をご参照下さい。

薬物療法

Q7:薬を始めたら、一生やめられないのですか?

A:

そのような神経症はありません。通常は服薬をして改善した後、およそ半年〜一年の服用を続け、それ以降は徐々に減らして中止します。
しかし長期間服用して、依存的になっている患者さんや中止するとまた再発するのではないかという不安が強い人は、服薬を中止するのに消極的な患者さんもおられます。
故に、薬の力だけで不安を軽減するのではなく、不安に対する姿勢を変化させていく事を治療の中に組み込み、いずれはやめるような治療の仕方を考える事が大切です。その意味で精神療法との併用が大切になるのです。

Q8:病院の選び方は?

A:

一口に精神科といっても、大学病院や総合病院の精神料、単科の精神科病院、さらに精神科クリニックなどがあります。
大学病院や総合病院の場合、各々の病院によって得意分野が異なります。それを知る方法の一つはホームページなどに専門領域として、神経症や不安障害が標榜されているかどうかです。一般に大学病院の場合、医師の数が多いため専門医がいる確率が高く、入院治療なども受ける事が可能です。総合病院は医師の数は大学病院ほどではありませんが、専門的な治療を提供しているところが比較的多いといえます。これらの病院の特徴は、他の診察科との連携で総合的な治療が可能ですが、反面、待ち時間が非常に長く、仕事帰りなどに受診する、という事はできません。
単科の精神科病院は、統合失調症などの患者が多いために、入院治療が必要な神経症の患者さんには選択肢としてあるかもしれません。
精神科クリニックは、比較的軽症な患者さんが多く、待ち時間が短い事がメリットですが、クリニックによっては神経症を得意分野としていないところもあり、事前に調べておく方が良いでしょう。
より確実な方法は、地域の保健所や精神保健福祉センター、又はかかりつけ医に問い合わせて、神経症に悩んでいるが、どこか良い病院はないかと相談し、適切なところを紹介してもらうことでしょう。

Q9:保健診察は適用されますか、治療代は?

A:

保健診療は適用されます。特に病院の精神科で治療を受ける際には、ほとんどが保健診療内で行われます。一方、精神クリニックの場合には、自由診療のみのところもありますが、むしろ例外的でしょう。
治療代は、病院やクリニックの場合で料金に違いはありますが、一般的(3割負担)に、初診料で3500円くらい、再診の場合で、1400円程度です。また薬代は別途かかり、個人差はあるものの保険適用を前提にすると、1000〜3000円前後くらいのようです。
また検査などした場合は、別途加算されます。
一方、自由診療の場合、施設により異なりますが、5000円〜3万円程度(1時間程度)かかるようです。

Q10:精神科と心療内科はどう違うのですか?

A:

精神科は、心の障害を扱い、心療内科は内科の一部門として、心の病気を扱うとういう事です。
以前は、精神科というと現代の統合失調症や双極性障害などを扱う施設が多かったのですが、最近はご存知のようにうつ病等の増加で、神経症や不安障害などの軽い心の障害も広く扱うようになりました。精神科は、広く心の障害を扱う分野をカバーしており、診察でも治療でも経験の蓄積がありますので、専門性が非常に高い事が特徴です。
心療内科は、一番の得意分野は、心身症(>>※詳しくはこちらへ)と呼ばれる病気です。心身症とは、心理的な要因が関わって、体の機能障害を起こす病気です。
しかし最近では、うつ病なども扱いようになりました。但し、専門的な治療や経験の豊富さでは、やはり精神科に1日の長があります。
やはり長期化した症状や入院が必要な場合には、精神科を選ぶ方がより適切でしょう。

Q11:森田療法の治療を受けるには?

A:

現在、かかりつけの病院がある場合には、「森田療法を受けたいと思いますが、先生はどう思いますか?」などと質問するか、もし詳しく知らない場合には、森田療法の解説書を見るか、当ホームページの森田医療機関や関連のリンク集をご参照下さい。インターネットには、森田療法を標榜する無資格者が相談サイトを解説したり、類似名のサイトが見受けられるので、ご注意して下さい。
(※メンタルヘルス友の会等は、当財団とは全く関係がありません)
かかりつけの医や専門機関を探したら診察を受け、森田療法に適合するか判断してもらいましょう。

森田医療機関のリストはこちらへ

関連リンクはこちらへ

Q12:入院が必要かどうかの判断はどうするのか?

A:

通勤や通学、家事など、生活の基本的なことに大きな支障を来している場合には入院治療を考えても良いでしょう。また特定の治療をするために積極的な入院治療を行う場合もあります。
反対に社会生活にあまり支障がない場合には通院治療が基本です。

Q13:本人が受診を拒んだら?

A:

神経症は治療を受けずに長期間経過した場合、慢性化する事はありますが、ますます進行するとか、人や自分に危害を及ぼす事はほとんどないため、無理に受診させるようなことはしない方が良いでしょう。(但し精神病の場合、やむおえない場合もあります) 神経症の場合、本人が自分の問題として悩む事が必要です。したがって、家族や周囲の人は、ある程度距離をとって見守る事が大切です。
しかし本人の代わりに情報をあつめて、伝えることはかまいません。但し病気なのか、そうでないのかの議論は不要です。そこで、「解決する手だてがあるかもしれない」などの言葉で、受診を勧めるのが良いでしょう。
本人がなかなか受診に応じない場合は、家族が代わりに相談に行くのも良いでしょう。但し相談に行った事はなるべく秘密せず、本人に伝えた方が良いでしょう。なぜなら「勝手にそんな事をして」と怒りだす患者さんがいるかもしれないからです。

Q14:国の公的な補助制度はないのですか?

A:

精神疾患に関する公的な補助制度としては、平成18年4月より施行された、障害者自立支援法による自立支援医療費支給制度(=旧精神通院医療費公費負担制度/32条)があります。
これはわかりやすくいえば、通院医療に要する費用の90%を保険と公費で負担する制度です。この制度を利用した場合、医療費の自己負担は10%となります。
(但し、所得に応じた負担上限月額が設定されます)

神経症の場合は、一定の経験を有する精神科医によって、「重度かつ継続的治療が必要」と判断されることが条件です。一定の経験を有する精神科医というのは例えば精神保健指定医のように、経験5年以上というような条件を満たしている医師です。

■対象者
精神疾患を有し、通院による精神医療を継続的に要する程度の病状にある方
※区市町村民税(所得割)が23万5千円以上の世帯の方は、原則として対象外ですが、「重度かつ継続」の障害に該当する場合は、平成21年3月まで経過的特例により対象となりますので、詳しくはお問い合わせください。なお、今後の取扱いについては、国において現在検討中とされています。

■必要書類
【新規の手続きに必要なもの】

  1. 自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書
  2. 自立支援医療診断書(精神通院)
  3. 健康保険証(本人を含む保険加入者すべてのもの)
  4. 世帯の所得状況等が確認できる書類(区市町村民税課税・非課税証明書等)

【継続承認】
必要書類は新規承認と同様、有効期間の終了する3ヶ月前より申請が出来ます。

■お問合せ
詳しくはお住まいの市役所などの保健福祉課などにお問い合わせ下さい。

自立支援医療費支給制度の詳細(例:東京都)はこちらへ
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/tsuuin.html

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