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症状別アドバイス集

強迫神経症の部屋

「感情は自然なものとしてあるがままに。そこでどう振る舞うかを工夫する」」 '18.2 

Mさんは、怒りや悲しみに対する付き合い方に悩んでおられるようです。接客バイトで良く先輩に怒られ落ち込んでしまうので、解決策として言われたことの受け止め方を変えようとしたものの上手くいかなかったとのことでした。そこで森田療法に出会い、「悲しみをあるがままにしておくこと」を心がけていたものの、ある日悲しみと怒りが爆発してしまった、長期的な怒りはあるがままに出来ないのではないかと書かれています。

私達人間は、感情の動物とも言われているように、喜怒哀楽があります。それは好む好まざるにかかわらず、自然に生じるものです。怒られて落ち込む解決策として、言われたことの受け止め方を変えようとしたとのことですが、考え方を変えるのも頭だけの理解だと行き詰ってしまうかもしれませんね。その後は「あるがまま」を心がけていたようですが、森田の言う「あるがまま」は心がけると案外ずれてしまいがちです。実際森田は「あるがままになろうとしては、既にあるがままではない」と述べており、「夏が来れば暑い、それなら暑いと思っていればよいか、と問うてはいけない。思わなくとも暑いからそのままでよろしい。夏は暑い、嫌なことは気になる、不安は苦しい、雪は白い、夜は暗い、なんとも仕方がない。それが事実であるから、どうとも考え方を工夫する余地はない」とも言っています。つまり、Mさんの場合であれば、怒られて悲しいと思うのは仕方がないことであり、そう感じている事実をそのまま受けとめるということなのですが、それだけだと苦しくもなってしまいますよね。そこで同時に森田が促しているのは、本来の欲求にもあるがままに従うということです。怒られて悲しいのは、本当は認めてもらいたい、仕事をきちんとこなしたいという気持ちがあるからこそでしょう。一生懸命やっているつもりなのに、いつも上手くいかない。そうした自分に対する落胆や、怒られて傷つく気持ちが悲しさや苛立ちに繋がるのでしょう。そうであるならば、悲しさはそのまま受けとめつつ、同じ悲しみを味わいたくないからこそどうするかといった工夫が大事になってくるのです。その際には悲しみの裏側にある本来の欲求が足がかりになるでしょう。

Mさんは、先輩の指示やお客様の言っていることが理解できず怒られてしまうということでしたが、理解できないことを理解するにはどうしたら良いでしょう。先輩が怒りっぽいようであれば、周囲の他のバイト仲間に聞いてみたり、店長などに相談をしてみると何か上手くいかない理由が見えてくるかもしれません。他のバイト仲間のやり方を観察して真似てみるのも良いかもしれません。これまでにたまった怒りも、単に気持ちだけを受け止めようとするならば忍耐になってしまいます。怒りは怒りとして自分で認め、じゃあどうするか?と試行錯誤をするならば、怒りは自分の成長のためのパワーになるはずです。その中で少しずつ自分の何が足りなかったのか、何は出来ていたのかを知ることで、これまで溜まっていた怒りもいつのまにか流れていく(昇華されていく)のではないでしょうか。
(久保田幹子)

「どんな感情も自分の感情としてあるもの、オープンにしましょう」 '18.1 

Sさんは、13年加害恐怖に苦しんできたとのこと、本当に大変でしたね。「子どもを殺したいと思ってしまった」とのことでご自身のことが怖くなられたのですね。外来で小さいお子さんをお持ちの方たちの話を聞くと、「殺したいと思ってしまった」という話はよく聞きます。Sだけではなく、子育てはそれほど負担がかかるものなのです。さらに、下のお子さんを出産した直後のことですので、ホルモンのバランスの影響も考えられます。「産後うつ」という言葉を聞かれたことがあるかもしれませんが、女性は出産によってホルモンのバランスが激変します。それにより抑うつ状態を引き起こしやすくなるのです。抑うつ状態まではいかなくても、出産直後のイライラ感はホルモンバランスの変化によるものの影響が少なからずあると思います。

さて、このような加害恐怖にどのように対応していくかです。Sさんのメッセージを読みますと、加害恐怖が起こった瞬間、友達に電話をかけたと書かれています。親しいお友達なのだと思います。そういった親しい友達に、「子どもを殺したいと思ってしまった」ことなどをオープンに話してみるのもよいでしょう。お子さんを持っている友達であれば、「私もそう思った」など同じような体験をしていることに気付くはずです。そして「殺したいと思ってしまった」という気持ちを事実として受け止めるのです。感情はコントロールできないですし、あってよいのです。さらに、Sさんは子どもを殺したいとまで思うほど大変な子育てを、加害恐怖と付き合いながら自らの力で乗り越えてきたのです。「よくここまできたな」と自分を褒めて下さい。

今も「いつか人を殺すのではないか」との雑念を抱いていらっしゃるようですが、特に対処する必要はありません。「自分はこういう感情を持っているけどそれは自然なものだ」「人を大切に思うからこそ殺してはいけないと思ってしまうんだ」と思い、流れていくのを待ちましょう。ゆったりと流れる川のように恐ろしいイメージもゆっくりと流れていくのです。そして見方を変えると加害恐怖にはSさんの人を愛する気持ちが詰まっている気がします。加害恐怖を「本当は良い人だけど表現が不器用で急に現れる友達のようなもの」と考えてはどうでしょうか。

ヨガなど身体を動かすことはとても良いと思います。ヨガは「今ここで」に集中できますし、自分の身体を大切にしていこう、さらに自分の心も大切にしていこうという気持ちにつながります。このように行動は続けていってください。
(大久保菜奈子)

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