神経症を治す〜神経症(不安障害)の治療方法

薬物療法

最近では、神経症の治療に対して広く薬物が用いられ、一定の有効性が確かめられています。神経症に使用される主な薬物とは、抗不安剤と抗うつ薬の2種類があります。

抗不安薬

抗不安薬は、別名緩和精神安定剤(マイナートランキライザー)と呼ばれ、一般的に安定剤と言われるものです。その作用は、その名のとおり不安を軽減する薬です。その他、鎮静作用、眠気作用、筋肉の緊張の弛緩作用ななど、いくつかの働きがあります。

抗うつ薬

元々うつ病に対する治療薬ですが、神経症に対してもその効果が認められています。抗うつ薬には、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRIと言われる4つの種類があり、それぞれに特徴や違い、副作用や問題点があります。
最近よく使用されるSSRIは、選択的にセロトニンに働く作用がありしかも副作用が少ないと言われ、神経症(不安障害)にも効果があると言われています。

薬物療法の問題点

近年はSSRIが登場した事で、神経症の治療に多くの薬物が使用されるようになりました。そのため、神経症の治療が、地元のクリニックや心療内科で広く受けられるようになりました。しかし反面、あまりにも神経症の症状を薬物で除去しようという風潮が高まり、様々な問題が生じています。

症状により、50%程度しか効果がない場合も

薬物療法では、パニック障害のように効果の高いものもありますが、強迫性障害や社会恐怖のように50%程度しか効果がないものもあります。
またうつ病等に比べてスッキリ治ることは少なく、症状の緩和はあっても多少、症状が残ることが少なくありません。

薬をやめると再発する場合も

また依存性など、薬を中止すると症状が再発することもあり、服薬を中止する事が困難になる場合があります。多くの医師は薬によって症状を除去しようとしますが、これがかえって薬の量を増やしたり、次々と新しい種類に変えることにもなりかねません。

薬物療法への接し方

神経症者には、薬に対する潜在的な不安があります。例えば、副作用や薬に対する依存性(自分でコントロールできなくなる恐れ)などです。
また不安が原因で病院を受診しているため、医師から受動的に処方された薬である程度、不安感や無力感は改善されますが、受け身の立場であるため、薬をやめるときに、あらためて潜在的な無力感が表に出てきます。
したがって薬を使用する場合、「不安をなくすこと」「症状をなくすこと」を最終の目標にするのではなく、患者さんは、「不安を乗り越えて生活を立て直していくための補助手段として薬を位置づける」ことが大切です。ここに、患者さんの本来の根本的な回復力を発揮させる鍵があります。
以下に、症例を踏まえたイラスト入りの解説もありますので、興味のある方は是非、参考にして下さい。

薬物療法への接し方(症例と解説)「Aさんのパニック障害の例」

※参考文献
「神経症を治す」「気軽に行こう精神科」
「こころのりんしょう vol25-no.3/不安障害」中村 敬 著、編集
「うつのかたへの対応Q&A」生活の発見会
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