症状別アドバイス集

強迫神経症の部屋

「本当の納得はどこにあるのか」 '26.01 

Nさんには、不完全恐怖があり、とにかく失敗が怖いと感じているようです。その他にも加害恐怖や不潔恐怖にも悩まれていると書かれています。一見すると、恐怖の対象はさまざまなように思えますが、「~になったらどうしよう」といった不安があるのでしょう。と同時に「~になってはいけない」という万全を求める気持ちが共通してあるのではないでしょうか。そしてNさんには自分のルールに縛られている感覚があり、何より行動が出来ないことに悩まれているようです。おそらくルールというのは万全を期すためのものなのでしょう。しかし、万全を求めるとますます不安が強くなり行動が出来なくなってしまうのは自然な心理かもしれません。

私たちの生活には不確かなことが多くあふれていますよね。明日雪が降るかもしれないし、こうしようと思っていても、予定通りにことが進まないことだってあります。ある程度の見通しは立てられたとしても、実はどうなるかわからない不確かさと隣り合わせと言ってもいいのでしょう。人はわからないコトに不安になるように出来ていますから、不安になるのは人間にとって自然なことだと思います。そのようなときに、願掛けのような、とりあえずの安心を得ようと自分なりのルールで行動をすると、一時的に安心感が持てることってありますよね。しかし、それが過ぎると、次はルールを守ることに縛られて結局それをしないと不安になり行動ができなくなる。まさに今のNさんの状況そのものなのではないでしょうか。自分にとって安心を担保するためのルールが、実は不安を呼びやりたいことへの足かせなっているとしたら逆効果になってしまいますよね。

Nさんは大学に行くこと、卒業することが目標だとおっしゃっています。とても素晴らしい目標ですね。しかし今のNさんはルールを守ることが目的になってしまっていませんか?安心を担保するためのルールに多くの時間と労力を費やす生活は、本当の納得につながっているでしょうか。きっと、そうではないはずです。ルールを守ることで得られる安心は実は一瞬。一時的な安心に目を向けるのではなく、数年後の自分が納得する生活はどのような生活か、という視点に立ってみるのも必要かもしれません。そしてその生活に向けて出来ることに目が向くとそこに可能性が見えるかもしれませんよ。自分の欲求を足掛かりに進む道は、どうなるかわからない不安を含んでいたとしても、本当の納得につながる道になるはずです。心から応援しています。
(渡辺志保)

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