メンタルニュース NO.23
神経症のセルフヘルプグループ
生活の発見会
今年6月15日に「生活の発見会」が東京都より、特定非営利活動法人(NPO法人)として認可を受けました。
ついては本号はその特集号と致します。
ひとりで悩んでいないで……。 (「生活の発見会・案内パンフレット」から抜粋)
- 人前でドキドキして話ができない。
- 視線が気になり相手を見られない。
- 夜眠れなくて苦しい。
- 不安で電車に乗れない。
- 心臓が急にとまるのでは 。
いま、あなたはこんな悩みをもち、なんとか克服したいと、人知れず努力を続けています。しかし、その願いはかなえられず、さらに悩みは深くなっていった 。
では、あなたの悩みはどうすれば解決するのでしょうか。
生活の発見会は、あなたが悩みを解決し、健康な日常生活が送れるように援助します。森田正馬博士(慈恵医大名誉教授、1874〜1938)が創始した、森田精神療法理論(略称・森田理論)にもとづいて―悩みを克服した人たちが、同じ悩みをもつ人とともに、互いに助けあいながら、実生活をしつつ学習を深め、悩みの解決をはかっていくのです。
★生活の発見会にはこんな活動がある
生活の発見会(略称=発見会)は会員組織によって運営されています。以下、その主な活動のあらましを紹介してみましょう。
●機関誌「生活の発見」発行
毎月会員におくられる「生活の発見」誌(A5判、約90ページ)には、森田理論の研究、解説および学び方、神経質症をのりこえた体験記などが掲載されています。会員のいちばん身近な学習テキストであるばかりでなく、力強い心の支えとなっています。
●地区集談会
もよりの地域に住む会員の集まりで、発見会の活動母体です。北海道から沖縄まで全国150か所以上の集談会では、森田理論の学習を中心とする会合が月1回、自主的に開催されています。また大都市などでは、入会したばかりの人のための「初心者懇談会」があります。
●学習会
森田理論を、より集中的・系統的に学ぼうとする会員のために、各種の学習会が開かれています。
- 連続学習会
毎週1回2時間、3か月を単位とする学習会です。テキストによる理論学習、先輩の体験発表、日記指導などが行なわれます。東京、大阪、名古屋、福岡ほか主な地域で催されています。
- 合宿または1日学習会
1泊2日ないしは数日間の合宿です。参加者が寝食をともにして、学習、体験交流そのほか、親しい雰囲気のなかで学びあいます。また、1日だけの学習会も各地で開かれています。
●相談活動
相談室(東京など数か所)で面接相談に応じ、森田理論にもとづくアドバイスを行なっています(予約制・有料)。また事情によって会合に出席できない会員のために、手紙相談(有料)もあります。 ※そのほか、ゆとりと心の豊かさをもとめて、地域により懇親会、趣味の同好会や、ハイキングなどが催されています。
★生活の発見会による発見会の紹介
●神経症とは
あなたはきっと心配性で、なにかにつけて不安感や恐怖心の強いかたでしょう。そして、これがあっては生きるのに不都合だから、なんとか治したい。もっとよりよく生きたいという意欲を持っています。
つまりあなたは、自分の状態についての反省心をもちながら、それを治そうとして逆に自分の悩みを深めてしまったわけです。ですから森田理論でいう神経症(神経質症)とは、こうした状態が心のからくりによって慢性的に固定したもので、もとをただせばだれにでもある心理です。
●森田理論学習が適する人
このように苦しみながらも、何とか日常生活をつづけてきたあなたなら、生活の発見会(以下、発見会)で森田理論を学習し、それにしたがって実践していけば神経症から解放されていきます。ひいては、人間的にも大きく成長し、いきいきとした毎日が送れるようになりましょう。
神経症の症状が重く日常生活ができない人は、森田療法施設へ通院、入院されるのが良策です。また医師から、そううつ病、うつ病、またはうつ状態という診断をうけた人は治療が必要で、発見会で行なうような森田理論集団学習の適否については、医師に相談してください。幻覚、幻聴、妄想があり、病識のない人には、森田理論学習は適しません。
●神経症の3つのタイプ
さて森田理論では、神経症は便宜上、つぎの3つのタイプに分けられています。
- 普通神経症
正常に機能している心身のわずかな不快感を病的だと思い、注意をそこに集中して症状が固定したもの、をいいます。不眠、頭痛、記憶力減退、めまい、肩こり、全身疲労感など、いろいろからだの異常感を訴えることが多く、心身症の一部、自律神経失調症といわれるものの大部分がこれにはいります。
- 強迫神経症
特定のことを恐怖しながら、半面、その恐怖を打ち消そうとしてかっとう葛藤を生ずるもの。対人恐怖、赤面恐怖、視線恐怖、表情恐怖、雑念恐怖、不完全恐怖などのほか、なにごとにも疑惑を覚える疑惑症、ものごとを根ほり葉ほりせんさくしなければ気のすまない、せんさく癖、確認癖もこれにあたります。また、書痙(人前で字を書いたりするときに手がふるえる)も対人恐怖の一種とみてよいでしょう。
- 不安神経症
急激におこってくる不安発作が主症状で、救急車を呼ぶなどの大さわぎすることがあります。発作中は心悸亢進、頻脈、呼吸困難、めまい、ふるえなどの症状をともないます。代表的なものが心臓神経症ですが、電車などに乗れない乗物恐怖もあります。エレベーターに乗れない閉所恐怖、高所恐怖なども同じです。
●生活の発見会の現状
発見会は1970年に、それまでの同人組織を改め、理事会を結成しました。会員相互の助け合いによる森田理論の集団学習運動という、新しい方針をうちだしたのです。以後、おおくの会員有志の奉仕的活動によって会は運営、推進されています。
1998年10月には、第50回保健文化賞を受賞。2005年にはNPO法人になりました。会員総数は現在、約3700人(男女比は約6対4)です。この会員数の半数以上が神経症から解放されており、また40%におよぶ約1500人が維持会員になっています。維持会員とは、学習運動のなかでその悩みから解放された体験から、この運動の発展と普及のため、発見会を支えていこうという篤志の会員のことです。
●会員の症状・年齢・職業は
では、会員がかつて体験し、あるいは現に経験している神経症の症状はどのようなものでしょうか。さいきんの本会の調査(全会員)によりますと、対人恐怖と強迫神経症で53%と半数を越え、ついで普通神経症、不安神経症の順となっています(図1参照)。近年は、子育てに関する問題などで入会するひとも増えつつあります。
年齢別にみますと、40歳代が30%を占め、そのつぎに30歳代が24%で、30歳から50歳までで半数を超過していいます。10歳代はわずかです。また別に、昨年の新入会員のかたでは30歳代、40歳代の順になります。
職業別では、会社員が34%でトップ、主婦の23%がこれにつづいています。ほか職業は学生もふくめて、多岐にわたっています。
●どんな悩みで入会したか?
つぎに、「生活の発見会」誌の体験記の中から、どのような悩みを抱いて入会したのか2つの例をあげてみましょう。
- 視線恐怖に悩むOL(23歳)
高校卒業後、いまの会社にはいり、仕事や人間関係に気をつかうことが多くなり、社会の厳しさを痛感しました。それでもどうにか過ごしていましたが、2年ほどまえの失恋をきっかけに、すっかり対人関係に自信をなくしてしまいました。
人と対話してると胸がドキドキして緊張し、とくに人の視線がこわくてまともに見ることができないのです。視線を合わせて話さなければ失礼になると思い、ムリに相手の目を見ようとすると、自分の目がきつくなっていまい、自分の視線をどのようにすればよいのか、まったくわからなくなってしまいました。とくに1対1で話しているときが苦しくて、相手の話の内容が頭にはいってこない状態です。
- 不安発作に悩む会社員(35歳)
会社で執務中でした。突然、全身の力が抜けたような息苦しい不安が胸を締めつけ、びっくりして病院に飛び込みました。精密検査をしてもらいましたが、どこにも異常なしとの結果が出ました。
不安はあったものの、2ヶ月ほどは小康状態でした。正月の休暇で妻子を連れて車で実家に帰ろうとしたところ、途中で手足のしびれと息苦しさがからだ全体をしめつけ、急いで妻に運転をかわってもらい、家に舞い戻ってようやく落ち着きをとりもどしました。
しかし、それからというもの、いつあのような発作がやってくるかもしれないという不安におびえています。また、肩こり、息切れ、頭痛、疲労感、抑うつ、食欲不振が重なり、出社しても人の思惑が気になって緊張し、脈拍が速くなり、卒倒しそうな恐怖に襲われることがあります。
以上の例にもみられるように、新しい会員の多くが症状に悩みながらも、日常生活をなんとか維持している人たちであり、あるいはまた、医師の治療を受けながら働いている人たちです。
●協力医家との連携で
いっぽう、症状のため日常生活が維持されておらず医療もうけていない人の場合や、学習方法の適応がむずかしいようなときには、もよりの発見会・協力医家に紹介することにしています。森田理論学習に適するかどうか、治療が必要かどうかの判断をしてもらうためです。
この協力医家とは、発見会の活動を理解され、神経症の診断、指導で支援をいただいている医師(臨床心理士を含む)のかたがたです。協力医家は現在、全国で150余人に達しています。
生活の発見会への入会方法や、集談会の開催場所・日時などについては、下記へお問い合わせください。案内パンフレットもあります。
参考図書・医療機関などの紹介(森田療法関係)
図書室だより<新着情報>◆◆◆◆
- 『新版 森田式精神健康法』 長谷川洋三著(三笠書房)
- 『神経質にありがとう』 玉野井幹雄著(白揚社)
- 『森田療法で読むうつ その理解と治し方』 北西憲二・中村敬著(白揚社)
- 『新版 森田療法入門 「生きる」ということ』 田代信維著(創元社)
- 『不安と葛藤』 田代信維著(九州大学出版会)
- 『東洋思想と精神療法』 林克行著(日本評論社)
- 『<こころ>の軌跡』 近藤章久著(春秋社)
- 『新版 神経質の本態と療法』 森田正馬著(白揚社)
- 『アクティブカウンセリング入門』 石山一舟・我妻則明著(誠信書店)
- 『森田療法で読むパニック障害』 北西憲二著(白揚社)
- 『いつまでも若々しく生きる』 中村天風著(日本経営合理化協会出版局)
- 『運命を拓く』 中村天風著(講談社)
- 『6000人を一瞬で変えたひと言(2)』大越俊夫著(サンマーク出版)
- 『こころの科学』日本評論社
- 118号 自殺予防
- 119号 不眠と睡眠の科学
- 120号 統合失調症
- 121号 認知行動療法
- 122号 家族のこころ
- 123号 ひきこもり
- 124号 就学相談と特別支援教育
心の健康セミナー(平成17年〜18年)◆◆◆◆
- 平成17年2月26日(土)
精神科医・中村敬(東京慈恵医大助教授) 大阪市立総合生涯学習センター
- 平成17年4月23日(土)
精神科医・丸山晋(淑徳大学教授) 大阪市立総合生涯学習センター
- 平成17年7月9日(土)
精神科医・南条幸弘(三島森田病院) 大阪市立総合生涯学習センター
- 平成17年9月10日(土)
精神科医・高口憲章(米の山病院) 大阪市立難波市民学習センター
−今後の予定−
- 平成17年12月3日(土)
健康教育学・森昭三(筑波大学名誉教授・びわこ成蹊スポーツ大学学長) 大阪市立難波市民学習センター
- 平成18年2月25日(土)
精神科医・内山彰(三島森田病院) 大阪市立難波市民学習センター
森田療法に積極的な医療機関(一部)◆◆◆◆
- 土屋医院(京都市北区) 075・706・3903
- 三聖病院(京都市東山区) 075・541・3118
- にしむら医院(長岡京市) 075・959・3066
- 宇治黄檗病院(宇治市) 0774・32・8111
- 高橋医院(京田辺市) 0774・62・1216
- 奥野クリニック(富田林市) 0721・33・0058
- 吉村病院(松原市) 0723・36・3101
- 大西神経内科(西宮市) 0798・22・1668
- 川崎医大川崎病院(岡山市) 086・225・2111
- すばるクリニック(倉敷市) 086・525・8699
- 森岡神経内科(広島市安佐北区) 082・819・0006
- 磯島クリニック(高松市) 087・862・5177
- 石渡神経科(松山市) 089・948・3385
- 南国病院(南国市) 088・864・3137
学習団体◆◆◆◆
生活の発見会(本部・東京)
神経症の悩みをのりこえるための全国的組織、森田療法理論の学習団体です。案内書もありますので、以下までお問い合わせ下さい。
〒112-0012 東京都文京区大塚4-41-12 第二マルナカビル3F 03-3947-1011、FAX03-3947-1018
http://www.hakkenkai.gr.jp/
【編集後記】
本号は、「メンタルニュース・18号」(2000年10月発行)の改訂版です。
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