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【体験談】対人恐怖の苦しみを越える

人のいないところへいきたい

私は、長い間、対人恐怖症で苦しみ、話し方教室へ通ったり、ヨガ、漢方薬、鍼など、治すためにあらゆる努力をしてきました。
勤務先も何回か変わりました。好きな仕事をしているときはいいのですが、人前で話したりする仕事、お客さまの接待、受付の役目がまわってくると退職しました。対人恐怖症のひどいときは、声が震えて出せず、切符を買うのも大変でした。

何回か職場を転々としたあと、兄の会社を手伝うことになり、いやいやながらも仕事はしておりました。結婚し、翌年長女が生まれ、保育園に預けながら忙しい生活でした。

娘が小学校1年になり、初めての父母会は母にいってもらいました。初めての授業参観は日曜日でしたので、主人にいってもらいました。勇気を出して何度かPTAに出席してみましたが、そのつどひどく劣等感を感じ、落ち込みました。若いお母さんが立派に発言しています。いい年をして人前で話せない自分を皆が馬鹿にしているような気がしました。自分がいやで、みじめで、人のいないところへ行きたい、山の中で暮らしたいと心の中で叫び続けていました。

ちょうどその頃、友人から小さな山小屋を紹介され、年に2、3回出かけるようになりました。空気はきれい。私が人前で緊張することを知っている人はいない。気に入りました。
ところが、子どものころからの夢がかなえられたというのに、何かもやもやとした不安感が襲ってきました。そんなころ、末娘が「山小屋もいいけれど、友だちがいないから、ナナちゃん、つまらない」と言いだしました。
「友だちがいないからつまらない」いつまでもその声が耳について離れません。人間は1人ではつまらない(生きられない)。「不安の裏には欲求が穏れている」森田療法の考え方を知る前の私は、不安や人に対する恐怖感をとり去ることばかりに努力をしていました。不安の裏に欲求があることを知りませんでした。私は皆と仲良しになりたいのです。


緊張があっても行動できる

そういう苦しみのさなか、縁あって森田療法と出会い、学習を始めました。そして感情はそのままに、前向きの行動を してゆくようにしました。

たとえば、苦手なPTAについて、森田を知る前と知った後とでは、どう行動が変わったか、比べてみました。
まずPTAの日、出かける前、以前の私でしたら、ヨガをする、うがいをする、のど飴をなめる、鏡の前で自己紹介の練 習をする−つまり恐怖をなくそうとする準備ばかりしていました。けれど森田を知ったあとでは、出かける前も普通に家 事をし、子どものためのおやつの用意をし、夕食の下ごしらえをします。

PTAの懇談中も、以前でしたら心の中は「指名されたらどうしよう」という思いでいっばい。先生の話、他の人の話は 耳に入らない状態でした。現在では、なるべく他の人の話をよく聞くように努力し、自己紹介のときは、あいかわらずド キドキしながら、逃げ出したいような思いですが、「我慢、我慢」と自分に言い聞かせて発言しています。

懇談会から帰るときも、以前は、さっと自転車に乗って一人で帰っていました。でも内心では、連れだって帰る他のお 母さんたちがうらやましくてしかたなかったのです。この頃は、自己紹介のとき他の人の発言をよく聞いているので「〇 〇さんのお母さんですか」と、こちらから声をかけて一緒に帰るようにしています。

このように、PTAで緊張することは治りませんが、PTAに出席できるようになりました。欠席したからといって、自分を 責めることもなくなりました。
森田療法では、感情は自分の意志で変えることはできない。しかし、行動し環境を変えてゆけば、不安感・恐怖感も流 れてゆくと言っています。
こわいからといって逃げていれば、不安はどんどん大きくなります。むしろ不安をもちながら、ドキドキしながら建設 的な行動をしてゆこうということです。

先般、PTAの学年委員を引き受けました。先生とお母さんがたのパイプ役として働いた、その結果として、対人恐怖症 は、少しずつですが確実に軽くなっていくのだという、手応え、感触がつかめてきたこの頃です。


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