
●神経症における精神症状
- 神経症になると、さまざまな精神症状がでてきます。
まず「普通神経症」。これは、病気じゃないのに本人が「病気だ、病気だ」といっている神経症なのです。たとえば、頭が重いとか訴えている。しかし、頭はもともと重いものです。からだの中でいちばん重いのは頭なんですから、重いか軽いかといえば、軽かったらまちがいです。
つぎに、「強迫観念」には恐怖症状があるのです。自己表情恐怖、不完全恐怖、読書恐怖、不潔恐怖、雑念恐怖だとか、いろいろです。
- それから「発作性神経症」。「不安神経症」ともいいます。心臓がとまりはしないか、倒れはしないかと恐れて、家から外に出られなくなる人がいます。実際は、心臓がとまることなど一度もないから、「とまってから騒いだらどうか」といいますと、冷たい医者だといわれたりしますが、本人は不安の連続です。
- このように症状はいろいろとわかれますが、森田先生は同じ治療法でいいとしたわけです。
ただ、強迫観念と発作性神経症は、おそらく違うグループだろうと思います。両者は、性格的にもかなりちがう面がある。また、強迫神経症は分裂病との鑑別診断を要することもあるし、不安紳経症はうつ病との鑑別診断を必要とする場合もあります。
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●本人に合う精神療法を
- 森田療法というのは神経症の人を治療する上で、とても有効な手段だと私は思っています。
というのは…私は、10年ほどまえに浜松医大に赴任しました。もとは慈恵医大で森田療法ばかりやっておりました。浜松医大にきましたら、先生方が、森田療法だけではなく、精神分析もやれば行動療法もやる。あるいは音楽療法、絵画
療法、家族療法も……というように、いろいろな療法を試みているわけです。それを統括してみますと、森田療法というのはたしかに、ほかの治療法にくらべて治療効果のでてくるのが早いのです
。
- しかし、本当の神経症でなくて不純型だとか、うつ病などに森田療法的なアプローチを積極的にやっていくと、自殺その他の危険性が生じることもないとはいえない。
だから、いろいろな治療を患者さんごとに選り分けて、やっていくのが大事だと思います。と同時に、どんな患者さんであろうと、社会復帰の前段階として、やはり森田療法的なアプローチが総仕上げという意味で、とても有効だと思います。
おおはら・けんしろう
1930年、高知県生まれ。医学博士。日本森田療法学会・元理事長、メンタルヘルス岡本記念財団理事。
著書に『日本の自殺』 『森田療法』『おれたちは家族』ほか多数。 |