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伊丹仁朗先生への質問と回答

 

  1. 発病前の患者の性格・人柄が、森田療法の効果に影響を与えることがありますか?

    私の経験では、生きがい療法はどんな人にとってもガン・難病に伴う不安・死の恐怖への対処に役立つと思われます。性格・人柄とは直接的な関係はないように思います。

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  3. 病気のどの段階で、生きがい療法が最も有効ですか?(最初の診断時・治療終了時・再発時・進行ガン期・終末期)また、それはどうしてでしょうか?

    ご本人が生きがい療法を取り入れようという姿勢があれば、病気のどのステージにおいても役に立っています。しかし、できれば発病当初から取り入れたほうが、長い闘病期間全体に効果が発揮でき、利益は一層大きいと思います。

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  5. 先生とリーベンバーグさんはお互いに尊敬しあい、よく似た考え方を共有しているようにおみかけします。先生と彼女、あるいは先生の患者と彼女の患者は今までに一緒にプロジェクトに参加したことはありますか?もしそうなら、どういった内容で、結果はどうだったのでしょうか?
  6. 1997年6月ニューヨーク森田療法学習会の人々が行った作品展に、日本の生きがい療法実践者10数名が作品を提出し、参加しました。日本側の作品提出者にとっては、自分の作品を米国の人々に見て頂けたことが、大きな生き甲斐のひとつとなりました。また、この作品展の様子は生きがい通信に紹介され、多数の読者の学習資源となりました。

     

  7. モンブラン登山をした患者のその後はどうなっていますか。あれほど壮大なことをした後で「普通の人生」に戻るのに困難はなかったのでしょうか?その人達にとって普通の人生は拍子抜けのように感じられなかったでしょうか?
  8. モンブランに登山した7人のガン闘病者(Cancer survivor)のうち、すでに進行ガンであった2人は、登山後2年数カ月で永眠されました。しかし、この2人は登山直後より仕事に復帰し、また、望まれれば各地で闘病体験談を講演するなど、死の直前まで社会に貢献する活動に取り組んでいました。他の5名は10年後の現在も元気に仕事や趣味、スポーツに取り組んでいます。それぞれの人が、モンブラン登山を体験したことによって、その後の生きる意欲、生き甲斐が大幅に高くなったと語っています。

     

  9. 患者にどう対応されていますか?入院患者ですか?外来患者ですか?個別にですか?集団でですか?頻度はどのくらいですか?

    生きがい療法は一種の心理教育的療法(Psycho-educational therapy)といえます。基本的には解説書や視聴覚教材によって個人で学習できます。会員制の生きがい療法実践会という学習援助団体が、そのお世話をしています。また、希望する人には、全国3ケ所で行っている定例学習会に参加したり、医師や指導員と面接して個人指導を受けることも出来ます。

     

  10. 先生の治療には臥褥も含まれているのですか?
  11. 生きがい療法では、絶対臥褥はプログラムには含まれておりません。しかし、私が神経症の人々の個別の治療にあたる際には、絶対臥褥も採用しています。

     

  12. 先生のグループ会員の中で、ある人達は登山し頂上に到着する一方、他の人達は参加しないとします。不参加の理由は、病状が重すぎるとか、興味がないとか、フランスまで行く充分な資金がないとか、仕事を休めないなどがあるでしょう。こうした場合、会員の相互関係に何が生じるでしょうか?
  13. 登山は、生きがい療法のひとつの実習ですから、希望する会員が自発的に応募し、参加します。この種の実習は登山以外にも、旅行、作品展、病院に絵を描く活動、大学で「一日教授」をする活動その他いろいろありますので、自分の条件に合ったものに参加できます。生きがい療法は個人の学習が目標であることを各自自覚し、他人はどうであれ、自分が選択した生き方にしっかり取り組むことを推奨しています。

     

  14. 重篤な病気を患っている人々は、何らかのスタントとか壮大な離れわざをする必要性に迫られているように最近感じられます。何かを誰かに対して示そうとするとするガン患者で、世界中の山が混雑しているかのように思えます。私はガン患者として、このことに居心地の悪さを覚えます。これに関し、何かコメントをお持ちでしょうか?
  15. 人は誰しも自分の能力を最大限に発揮して大きな目標に挑戦し、自己実現をはかりたいと考えていることでしょう。しかし、日本のガン闘病者の人々の多くは、予後不良の病気になったためもうそのような自己実現の機会も可能性も無くなったと落胆します。生きがい療法では、たとえガンになっても生きる目標に取り組むことは可能であることを体験的に学んで頂くために、共同体験学習(実習)を行っています。その体験学習はさばざまなテーマで企画され、希望者が参加します。その内容は登山や旅行、作品展、病院に絵を描く活動、プロの落語家とユーモアを競う会、大学で一日教授として講議するなど、さまざまなものがあります。こうした体験学習に参加することによって、再び病気や困難に負けずに生き甲斐に挑戦していこうとする意欲を手にする人々が多いといえます。

     

  16. 多くのアメリカ人は、依存性や病気ほどまでには死を恐れなといいます。このことは日本でも当てはまるでしょうか?もしそうなら、こうした患者にどう対応しますか?
  17. 日本では、死そのものよりも、死に至るまでの苦痛を恐れている人が多いように思います。又、病気になれば家族や周囲の人々の援助をうけるのは当然だと考えている人が一般的ですので依存性は気にする人はあまりいません。

     

  18. パリの組合は、ゴミ拾いについてどう感じましたか?
  19. 私たちのゴミ拾いの最中にも、パリの清掃組合の人々が車でゴミの収集をしていましたが、彼等が通った後にも小さなゴミはたくさん残っていましたので、私達のゴミ拾いに支障はありませんでした。拾い集めたゴミ袋を目的地の凱旋門前で清掃組合の人々に渡したところ「メルシ、ボクー」と言って大変喜んでくれました。

     

  20. ガン患者への森田療法の試みを決められたきっかけは何ですか?

    ある直腸ガンの女性が、死の恐怖の怯え圧倒され、日常生活もままならない状態となっていました。その人の様子が、強迫性障害の症状とよく似ているという印象をうけたことで、森田療法を試み大変効果的であったという体験からです。

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  22. 日本のガン患者に対して、(スローン・ケタリング・ガンセンターで開発され、後にスピーゲルが用いたような)西洋式の支援グループのようなものを利用されていますか?もしそうなら、類型的にどんな患者がそうしたグループから恩恵を受け、どんな患者が森田療法のグループから恩恵を受けるのかを、どうやって区別されますか?

    日本にもまだ数は少ないですが、ガン治療中の人々の自助団体があります。これまでの日本人の文化の特徴として、集団依存的な傾向があり、自助団体にもそうしたスタイルでかかわる人々も多いようです。集団的な励ましあいや支援を期待する一方で、個人主義的発想が乏しいために、集団内のマイナス情報やストレスによる悪影響を受けやすいという弱点もあります。したがって最近は自助団体のメンバー中にも、個人的に森田療法を学び、自分の生き方に役立てようとする人も増えています。

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  24. お話された体験学習へ参加する患者の比率はどのくらいですか?
  25. 直接参加する人はおおよそ10%位でしょう。でも、直接参加しなくても、体験学習のビデオや文章によるドキュメントを読むことによって、間接的な体験学習となります。

     

  26. 生きがい療法を実践する患者の生存期間とでは何らかの差異があることが判明しましたか?
  27. 生き甲斐療法実践中の人々の中には、進行ガンにかかわらず、予想以上に元気で長生きしているケースがかなりあるという印象を受けています。ただし、比較対照試験による科学的証明はできていません。しかしながら、米国UCLAのFauzy教授がMelanoma手術後の人々に、生きがい療法に近い内容の心理教育的治療を行い、6年後の再発率が1/2に、死亡率が1/3となるデーターは、生きがい療法が身体的治療効果に良い影響を及ぼすことの傍証となっていると思います。

     

  28. 先生の会員がニューヨークの森田療法勉強会の会員と共同で行った見事な芸術展を見ました。この他にも、ニューヨークの人々と共同で行う企画をお持ちでしょうか?その芸術展に対して、先生の会員はどのような反応を示しましたか?
  29. 作品展の様子は生きがい通信紙上で紹介され、多くの会員が、自分も何か作品を創りたいという創造意欲を刺激される機会となりました。共同で行う体験学習としては、日本の生きがい療法の闘病者のニューヨーク訪問の旅、ニューヨーク森田療法学習会の人々の日本訪問の旅などによる交流が実現すれば素晴らしいことと考えています。

     

  30. アメリカのガン患者は生きがい療法を試みてみましたか?そうだとすれば患者は効果を認めたでしょうか?生きがい療法に何らかの修正を加える必要がありましたか?
  31. ニューメキシコ州の米国人数名とカリフォルニア州の日系米国人4名とに利用してもらいましたが、それぞれに効果的であったとの評価をいただいています。これは少ない経験の範囲ですが、今のところ修正の必要は感じていません。

     

  32. 誰が、パリでグループによるゴミ拾いを決めたのですか。パリではゴミが特有の問題になっていることを、先生(あるいはグループの誰か)は気付かれましたか?パリの人達に、どうすれば最も役立てるかを尋ねられましたか?それとも、ただそこらにあったゴミを拾われたのですか?その答えが、そこらにあったゴミを拾ったというのでしたら、グループの中から、ゴミを拾うよりは別の方法のほうがもっと役に立てるという声が上がったらどうしますか?ニューヨークでは、ゴミを拾うことは組合やジョン・ドー基金との間で大きな問題を引き起こすことになり得ます。ゴミを拾うといったことなどに先立ち、自治体などに確認を取りますか?
  33. ゴミ拾いの実習は短時間に森田療法の考え方を学習できる技法だと考えています。国内の生きがい療法学習会でも時々ゴミ拾いの実習を行っています。この旅行の中で行ったいくつかの体験学習のひとつとして、生きがい療法実践会事務局で企画したものです。パリでのゴミ拾いに先立って、フランス側の協力者の人々とも協議し、警察当局の了解を得ました。この種の実習は、ゴミ拾いでなくても、簡単にできて人の役に立つことなら何でもよいので、別の案もあれば採用したいと思います。

     

  34. グループ会員が亡くなると、他の会員は残された家族の為に何かをしてあげますか?亡くなった人のことに言い及んだり、勉強会でそのことを話しますか?
  35. 会員の死について、学習会で意識的に取り上げることはありませんが、ごく自然に話題になることはあります。残された家族ととくに親しかった人は個人的に援助協力をすることはあります。残された家族の中には引き続き生きがい療法の学習活動に参加することによって、自分自身の悲しみから立ち直るのに効果をあげている人もあります。

     

  36. 医師やソーシャル・ワーカーに、生きがい療法のやり方を教える研修体系を確立されていますか?
  37. 医療専門家向けの特別の研修システムはとっていません。ガン闘病者達と同じ学習法で個人学習をベースに、学習会に参加して研修していただいています。生きがい療法の学習は闘病者、家族、一般社会人、医療専門家の区別をこえて、全ての社会人の生涯学習であるという観点から、そのような方法をとっています。

     

  38. 生きがい療法の会員が、ニューヨークの森田療法勉強会の会員と共同で実施した芸術展を昨年見ました。日本人の参加者が展示した芸術作品は、アメリカ人の作品とまったく同じように「個性的」でした。ですから、ジョン・ファイトさんと共同で取り組んだことを知ってたいそう驚きました。彼の壁画を私のいる病院や他の病院でも見たことがあります。どこの病院であれ、またどこの国であれ、彼の壁画はどれも同じように見えます。それは型にはまった絵画芸術のようであります。生きがい療法のメンバーに、もっと個性的に作品に取り組んでもらって私が見たような素晴らしい作品にする代わりに、この方法を選ぶのはどうしてですか?型どおりの絵画作品展が、何か特別の治療目的に適合しているのでしょうか?
  39. 芸術作品の展示・鑑賞を目的とした芸術展と、ホスピタル・アート財団の病院に絵を描く活動とは目的が違います。後者は老若問わず誰にもわかりやすい図案で病院の壁を明るいものに変えようという試みです。その作業を、入院中の人々など沢山の人々の共同作業で取り組もうとするものです。集団で取り組むボランティア活動であることに意味があると思います。生きがい療法では、どんな作品であれ、実際の必要に一番合ったものを作ることが大事だと考えています。

     

  40. ガン患者の家族は先生のグループの中で積極的な役割を演じていますか?

    家族の人々も自分自身がより良い人生を送る目的で学習に参加しています。そして、その人々の条件に同じて学習会や共同体験学習の成功のために、力を発揮しています。

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  42. 生きがい療法を開始した人々の実質継続率は、どのくらいですか?
  43. 生きがい療法は毎年会員登録をした人が1年間会員として学習に加わります。その後、会員を更新継続する人、中断する人様々です。長い人は10年以上継続しています。いずれにせよ、その人にとって必要な期間継続し、このシステムを利用しているのです。

     

  44. 私はガン患者で、ジーンの勉強会のひとつに参加しています。私達の勉強会に参加するためには、まず最初に入門コースを取らなければなりません。先生の勉強会でも会員となるには同じようなことが必要ですか?もしそうなら、初心者の研修はどのようなもので構成されていますか?
  45. 参考書・ビデオ・カセットテープなどによる個人学習によって、入門コースは自分で学ぶことができます。内容は「5つの指針」についての理解と日々の生活への活用、心の働きと自然治癒力との関係についての理解などです。

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